樋田淳也容疑者(30)が大阪・富田林署を脱走してから約3週間、逮捕の一報はいまだ届かない。そのさなか、しびれを切らした地元企業が「逃走男の首」に高額懸賞金をかけたところ、“闇のネットワーク”が動き出した!!
ひったくりや性的な暴行などの疑いで逮捕され、富田林署に勾留中だった樋田容疑者。面会室で弁護士との接見後に脱走したのは、8月12日のことだった。
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、逃亡長期化の原因を次のように指摘する。
「報道では、弁護士との接見終了から署員が脱走に気づくまで、1時間半もかかったとあります。接見室からの脱走という想定外の事態だったことを差し引いてもありえない話です。捜査を開始するまでにも多少の時間はかかったでしょうし、なおかつ、樋田容疑者の顔を判別できる留置場係の警察官は、勤務継続のため捜索に参加できなかったはず。要は出足で負けた、初動捜査の遅れが全てです」
警察がもたつく間に樋田容疑者は、生家のある松原市で黒のミニバイクを盗み、翌13日から15日にかけて、隣接する羽曳野市や大阪市内各地で逃走資金を稼ぐためにひったくりを繰り返したと見られている。
凶悪犯が野放しにされたままの現状に今、大阪はパニック状態に陥っている。
「回覧板には容疑者の写真が載り、警戒が促されています。町なかには、そこらじゅうに警官がうじゃうじゃ。商店で聞き込みをしたり、手配書を配ったりしてますね。特に、樋田容疑者は性的暴行やひったくりの相手を20代までの女性に限定していたこともあり、私の職場の若い女の子たちは報道を見て顔面蒼白です。私も彼女たちには一人で行動しないように注意しています」(大阪市在住の会社経営者)
そんな折、大阪市内の建設会社が、脱走犯確保につながる有力情報に300万円もの高額懸賞金をかけていたことが判明。同社代表がSNSでそれを公表したのが、8月25日のことだ。
容疑者の顔写真が掲載された「手配書」を見ると、「有力情報者 懸賞金300万」の文字とともに同社名、電話番号と代表者の氏名が添えられていた。
同社に問い合わせたところ、電話に出た社員が次のように答えてくれた。
「うちの社長の地元が、容疑者が逃げてから事件を起こした平野区、生野区なんです。会社も生野にあります。『生野で事件が起きたり目撃情報が出てるし、こういう状況はよくないから警察に協力しようや』ということでやっていると聞いています」
地元住民の安全を願って、善意の出資をしたというわけだ。
そしてこの高額懸賞金は、多くの現役ヤクザをも動かした。