3階級目となるバンタム級に転向して世界タイトルを5度防衛。先の防衛戦は視聴率20・5%を記録するなど、亀田三兄弟の長兄・興毅の人気は相変わらず高い。一方で、安定王者の域に入りつつも、対戦相手の格や戦いぶりを巡って、さまざまなバッシングにさらされてきた。新婚生活、さらなる野望とともに、全ての批判に対峙した。
──「最強の挑戦者」と言われた暫定王者ウーゴ・ルイス(メキシコ)との5度目の防衛戦が終わりました(12月4日、WBA世界バンタム級タイトルマッチ、12回判定勝ち)。聞くところによると、これまでとは違うプレッシャーがあったとか。
亀田 やっぱり子供が生まれたことが大きい(9月に長男誕生)。父親になって初めての試合やから、どうしても勝たなアカンという意識が強かった。負けたら「子供が生まれたから悪くなった、弱くなった」って言われるから、何があっても勝ちたかった。とにかく今回は勝つことだけを意識した。そのプレッシャーが強かったということ。
家族ができて子供を持って、それで強くなるという人がいたけど、リングの上では関係ないというのが俺の考えやった。スポーツの世界だけでなく、人は父親になると大きくなる、強くなるというけど、それってキレイごとやろ、って。でも今回、それが少し理解できた気がした。実際に試合中、何度か苦しい場面があって、その瞬間瞬間に息子の顔が浮かんできてふんばれたから。これまでの試合ではそんなことはなかったけど、今回は子供に背中を押されたよ。そういった意味では父親になって少しは強くなったんやなと感じた。
──ブログにはしょっちゅう、長男とのツーショット写真を載せていますね。お風呂に入れてチューしたり、もうメロメロって感じであんなに子煩悩だとは‥‥。
亀田 そりゃそうよ(笑)。時間がある時はオムツも換えるし風呂にも入れるし、できる範囲で面倒は見てるよ。それって当たり前やろ、自分の子なんやから。面倒見ないことのほうが問題やで。自分が父親になってみて、俺らの親父ってホンマすごいわってあらためて気づいた。俺はんか父親としてはデビューしたばかりの4回戦や。でも、俺も全力で子供のことは守るよ。
──どちらに似てますか。
亀田 嫁さんのほうやね。俺に似んでよかった(笑)。ホンマ、かわいいねん。親バカって言われるのは覚悟のうえやけど、ホンマにかわいい。
──ところで、ルイス戦は判定が2対1に割れました。
亀田 確かに採点は割れたけど、俺の負けはないと思った。自分では何点差とかはわからへんけど、勝ったとは思ったよ。
──ルイスの戦績は31勝(28KO)1敗。激戦が予想されましたが、翌日の新聞では「迫力不足」「パンチが単発」などと、辛辣な戦評が目立った。元世界王者の中には「手数が出ない以上、亀田選手にポイントは与えられない」「こんな試合をしていたらファンの目はだませない」とまで言う人も。どう受け止めますか。
亀田 十人十色でいろんな感想、意見があるのは当たり前。そのとおりってこともあるよ。でもラスト3ラウンドは見せ場も作ったし、会場も沸いて盛り上がった。それまでは作戦どおりに戦っただけ。