──確かに、最後の3ラウンドは積極的に攻撃に出て、打ち合いましたが、9ラウンドまでは淡々としていた。ルイスも消極的でしたけど。過去に「亀田とKOはセット」と言ってきたわけですが、実際の試合はそれとは乖離したものになっている。そのギャップの大きさに、見る側も戸惑いを感じているのが現状だと思うんです。
亀田 (試合は)おもしろくなかったやろな。でも今回の試合に関しては勝つという結果が第一やったから。でも期待を持って見てもらってた人には申し訳ないって気持ちやね。俺自身も内容にはまったく満足してない。ただこの試合に関しては、俺はKOを狙うのではなく、36分間(12ラウンド)戦って勝つことを目標にしていて、結果には満足してる。
──終盤にあれだけやれるんなら、もっと早い回から見せてくれ、という声もありますよね。
亀田 客観的に見て、俺自身ももっと早くいってたらよかったと思うよ。でも、それは結果論。実際にいってたらどうなってたかわからん。ウーゴも強い選手やったし、ヘタしたら俺が倒されていたかもしれへんし。
──なるほど。一方で、でも倒したかもしれない、とも言える。
亀田 うん。でも、それはあとの祭りや。試合前、周囲は「ルイスは強い。亀田は負ける」と言っていたけど、俺は勝った。そしたら今度は「ルイスは大したことなかった」と言う。まあ、そんなもんやろ。
──そうやって、常にKOを期待される中で戦うジレンマはどうですか。
亀田 そりゃあ、おもしろい試合をしようとは思うけど、そう考えると手が出なくなったり、結果としてつまらない試合になったりしてしまう。難しいよ、ボクシングは。今回は、前半は足を使って距離で相手の射程を外して、後半にプレッシャーをかけながらカウンターを合わせる作戦やった。でも動きだけでなく、もっと手数を出せてたらよかったという反省はあるよ。それは今後に生かせばいい。
──これで世界戦10試合目となりました。9勝(2KO)1敗ですが、KOの数が少ないですね。
亀田 そうやねんなぁ。確かにKOが少ない。倒すのはホンマ難しい。今回は体幹を鍛えて手応えを感じているから、2、3年後には成果が出ると思う。