第12回アジア選手権を戦ったU-18メンバーの解団式が行われた(9月11日)。ネット裏のプロ野球スカウトは身を乗り出して金の卵たちに熱視線を送っていたが、どうやら、1位指名選手の絞り込みもできたようだ。
「やっぱり、スケールが違う。多くの球団が重複覚悟で(入札に)行くと思いますよ」(在京球団スカウト)
大会前の注目は、金足農・吉田輝星投手だった。しかし、全国の精鋭メンバーが集まっての合同練習や木製バットを使っての実戦を見て、スカウトの評価も変わってきた。
「根尾(昂=大阪桐蔭)は良い。走攻守すべてがそろっているのはわかっていたけど、外国のピッチャーと対戦しても力負けしないし、木製バットでも長打が打てる。こういう選手はなかなか出ません」(前出・在京球団スカウト)
根尾の評価が再浮上した理由は実はほかにもある。吉田の進路だ。進学かプロ入りか、正式にはまだ表明していないが、意味シンなコメントも発しているのだ。解団式の後、吉田は単独取材に応じ、「レベルの高いところでやって、自分の足りないところがわかった。補っていきたい」と答えた。ここまでは各メディアも報じているが、実際は違う。「高いレベル」という前に、「大学とか」と言っていたのだ。
吉田が自身を指導してくれた八戸学院大・正村公弘監督の前で「お世話になります」と言ったが、こちらも金足農の中泉一豊監督、そして、前任者の嶋崎久美氏の前での発言だった。この発言は相当重い。
「吉田はU-18で良いところがありませんでした。甲子園での疲労によるものですが、本人は力不足を痛感しており、プロ入りに怖じ気づいてしまったというか…」(関係者)
一人になってまた考えるそうだが、スカウトが根尾にシフトしたということは進路に関する確実な情報も得たのだろう。
(スポーツライター・飯山満)