今秋のドラフト会議が、東京五輪にも影響を与えそうだ。主役はやはり、夏の甲子園を沸かせた金足農・吉田輝星投手だが、進学に傾いていた時期も長かったため、アマチュア球界側はある期待も寄せていた。
「東京五輪の追加種目である野球は、プロアマ混合チームで臨む予定です。メダル獲得を目指す以上、プロ中心の選手構成になるのは当然ですが、アマチュア側は何人程度の選手を選出できるのか、まだ聞かされていないんです」(体協詰め記者)
アマチュア側が選出人数にこだわり始めたのには理由がある。8月のアジア大会には社会人チームから選出されたメンバーで臨んだが、プロ選手中心の韓国代表チームに敗れてしまった。この結果を受け、「東京五輪もプロ中心」の声も強まっていたが、こんな声も聞かれた。
「知名度バツグンの吉田投手が進学していたら、選出枠の拡大など強気なことをプロ側にもできたと思います」(前出・体協詰め記者)
野球・ソフトボールを追加種目に当確させるにあたって、プロ側は高校、大学、社会人のアマチュア側にも強い協力を要請した。なのに、アマ出場枠が2、3人程度となれば、「プロ側の横暴」とも言われかねない。まして、アジア大会での敗退により、アマ側は国際大会でのリベンジ機会に飢えている。アマ側に人気の吉田投手がいれば強気な交渉もできたわけである。吉田投手にはプロで大きくはばたいてもらいたいが、五輪出場枠を巡って、プロとアマ球界の関係はギスギスしはじめたようだ。
(スポーツライター・飯山満)