北海道日本ハムファイターズは「ドラフトの策士」である。「その年、いちばん優れた選手を獲りに行く」の方針も有名だが、今年も一計を案じていた。
「ドラフト前夜、日ハムが1位指名を吉田輝星に切り換えたとの情報も駆け巡りました。日ハムは『ナンバー1を』とは言ったものの、根尾(昂=大阪桐蔭)の指名を明言していませんでしたね」(スポーツ紙記者)
根尾の抽選に外れた後、再入札した吉田で交渉権を得た経緯は繰り返すまでもないが、他球団が驚いたのは、5位指名。大阪桐蔭のエース・柿木蓮が指名された時だった。
「U-18大会では柿木も招集されました。その時、吉田と意気投合したのが柿木なんです。同屋だったせいもありますが、キャッチボール、ストレッチで必ずペアを組み、食事の席順などもいつも隣同士でした」(在阪球団スカウト)
吉田は巨人ファンを公言していたが、仲良しの柿木が一緒なら、これ以上心強いものはない。だが、2人そろって活躍すれば御の字だが、どちらか一方が先に一軍昇格を果たす、プロ初勝利などで「差」ができれば、国際大会で築いた友情にもヒビが入りかねない。
「吉田、柿木ともに切磋琢磨していく関係が続けばいいんですが…」(前出・在阪球団スカウト)
2人の再会は、来年1月の新人合同練習。友情を発奮材料に変えさせたのも、日ハムの作戦のようだ。
(スポーツライター・飯山満)