原辰徳監督が、自らの首を絞めようとしている。3月27日、都内のホテルで行われた「2023 読売巨人軍激励会」の席上の発言が、口うるさいOBたちのやり玉に挙がっているのだ。3月31日に東京ドームで行われる中日との開幕戦で、新外国人のタイラー・ビーディを先発させると発表したからだ。
これまで1999年のバルビーノ・ガルベス、2009年のセス・グライシンガー、2017年のマイルズ・マイコラスの3外国人が開幕投手を務めたことがある。日本球界での実績が評価されたもので、日本の公式戦で投げた経験がないビーディとは違う。
スポーツ紙ベテラン記者が解説する。
「OBの中には、伝統ある巨人の開幕投手を海のものとも山のものともわからない人間にさせるとはナニゴトか、という意見も多い。そもそもOBには、巨人は『純血』でいくべきだと話す人が多いですから」
OBがカリカリしているのは、岡田彰布監督が就任した阪神が、巨人とは正反対に、ほぼ純血メンバーで開幕を迎えようとしていることがある。
「阪神打線はノイジーを除き、ほぼ日本人選手。自慢の投手陣も、日本人でまかなえますからね。投打ともに外国人に期待せざるをえない巨人とは大違いです」(スポーツ紙デスク)
開幕投手が内定していた菅野智之が開幕絶望。若きエースの戸郷翔征もWBCに参加し、決勝戦まで投げたことで間違いなく疲労や時差ボケが残っており、開幕投手は難しい。他の若手投手に大役を託すには、不安が多い。ビーディの起用は消去法で、苦肉の策だろう。
開幕戦とはいえ、長いシーズンを考えればたかが143分の1、という考え方もある。だが昨季の阪神のように、開幕戦のつまずきで、スタートダッシュに失敗する可能性はあるのだ。
渡辺恒雄読売新聞主筆も激励会で「何がなんでもリーグ優勝。日本一を獲得してくれると確信しています」と話しており、3年連続のV逸は許されない。新外国人の開幕投手が失敗に終わり、ふがいない試合が続けば、外野は黙っていないだろう。
(阿部勝彦)