フィギュアスケートのGPシリーズロシア大会で、ケガを負いながらみごと優勝を果たした羽生結弦選手。今季のFSのプログラム「Origin」は、過去にロシアのエフゲニー・プルシェンコが演じて伝説的とも言われる「ニジンスキーに捧ぐ」をオマージュした作品となっている。今季のGPシリーズの出場大会にロシア大会を選んだのも、そんなロシアスケートへリスペクトを込めたものだという。
「今季は、自分のスケート人生の原点に戻るという意味を込めて、自身が子供の頃から影響を受けてきたジョニー・ウィアーとプルシェンコへのリスペクトを込めたプログラムとなっています。羽生選手も『ニジンスキーに捧ぐ』をベースにしたこの演目を演じるにあたり、オフシーズンのアイスショーの際、プルシェンコに許可をもらったと言われています。ところが、ここに来て、実はプルシェンコが羽生の伝えたかった意味をわかっていなかったとツイッターで話題になっているのです」(スポーツライター)
羽生選手は、プルシェンコへのリスペクトを「ニジンスキーに捧ぐ」で表現したいと頼んだのだというが、快諾したほうのプルシェンコは、羽生選手もニジンスキーが好きであの演目をやりたいんだ、と勘違いしていたというのだ。
「ロシアのファンも、ロシア大会の前の報道で羽生選手の思いがニジンスキーではなく、プルシェンコへ向いていたことをようやく知ったようです。ロシアのファンにとっては特別な思いの詰まった演目ですからね。羽生選手がプルシェンコに対抗しているのではと疑問を持っていた人もいたようです」(前出・スポーツライター)
今回の大会では、タチアナ・タラソワコーチを始め、羽生選手のゆかりのスケート関係者がリンクサイドで観戦していたりしたようだが、肝心のプルシェンコの姿は見えなかった。羽生選手がこの演目をわざわざロシア大会で演じる意味に気づいていたら、プルシェンコは会場に姿を見せていたかもしれない。誰からも愛される羽生選手だが、思いがけない片思いの様相を呈してしまったようだ。
(芝公子)