映画賞レースのトップを切って、11月27日に「第43回報知映画賞」の受賞作品・受賞者が発表された。
報知映画賞は、ノミネート段階では読者票を重視するのが決まりのため、ビッグネームが出演した作品に票が偏る傾向がある。
「最終的には読者票を元に選考委員が決めるので、それほどおかしな結果にはなりませんが、それでも例年“また大手芸能プロの役者が選ばれている”との声は聞こえてくる。そんな中、今年は作品賞が白石和彌監督で役所広司主演の『孤狼の血』、監督賞は『日日是好日』を手掛けた大森立嗣監督、男優賞は『孤狼の血』の役所広司、女優賞は『人魚の眠る家』『SUNNY強い気持ち・強い愛』の篠原涼子となり、“妥当な線”との見方がもっぱらです」(業界関係者)
一方、今回扱いが最も問題となったのは、製作費300万円で30億円以上の興収をあげている「カメラを止めるな!」(監督=上田慎一郎)だったという。
「作品賞とともに、監督賞と新人賞(上田監督)にもノミネートされていたことから、選考委員からは“これだけ話題を呼んだ作品なのだから何か賞を与えるべき”との声が出たとされます。その結果、満場一致で特別賞に選ばれたとのことです」(選考委員関係者)
これまで“ゾンビ映画”自体、大きな映画賞を獲ったことは皆無。それだけに、今後の授賞式も見ものだ。
「現在、上田監督のところには演出オファーが殺到し、すでに次回作も決まっている。『カメ止め』は監督の間でも評判が高く、これから年末へ向けて受賞ラッシュが続くかもしれません」(映画宣伝会社関係者)
新作にも大いに期待がかかる。
(映画ライター・若月祐二)