昨年は地元のタイムワープが鮮やかな逃走劇で勝利した「香港カップ」。日本勢は3、4、5着と悔しい一戦だった。
今年はサングレーザー、ディアドラ、そして昨年の4着馬ステファノスの3頭が参戦する。
「最大のポイントは、連覇に挑むタイムワープと、その全弟グロリアスフォーエバーの逃げ争いです。この2頭は前走のGIIジョッキークラブCで激しく競って共倒れ(最下位と6着)でしたが、2走前のGIIIでは前者が逃げ切り、2番手からの競馬だった後者が2着しています」(秋山氏)
今回のメンバーを見渡しても、この2頭以外にこれといった逃げ馬は不在。ならばワンツーの再現もありえそうに思えるが、他の陣営も黙ってはいないだろう。
それは、海外のブックメーカーのオッズを見ても明らかである。モレイラ騎手とコンビを組むサングレーザーが3倍台で1番人気。2番人気もルメール騎手が手綱を取るディアドラだ。
「サングレーザーに関しては、前走の天皇賞・秋2着の反動を心配する声も聞かれますが、川上助手が国内最終追い切りのあとに『ビッシリ負荷をかけました。前走は少し細かったけど、今はふっくらしている』と話していますし、問題はなさそうです」(牧野記者)
対するディアドラも順調そのものだ。
「上がり32秒3の脚で重賞4勝目を挙げた府中牝馬Sのあと、多少の疲れが見えましたが、橋田調教師は『十分に間隔があったから、回復しています。ドバイの時よりも成長していますよ』と。国内のGI戦に見向きもせず、しっかり疲れを取り、目標としていたここに予定どおり挑むところがいいですね。国内最終追い切りの動きもよかったですし、頭から狙ってみたい」(牧野記者)
この日本馬2頭に熱い視線を注ぐのは、秋山氏も同じだ。
「ペースが速くなれば、サングレーザーとディアドラのワンツーもあるでしょう。その時に注意したい外国馬は、15-16年シーズンの香港年度代表馬で、今年の宝塚記念で2着したワーザーと、今年のGIクイーンエリザベスII世Cの2着馬ゴールドマウントの突っ込みです」
ちなみに、残り2つ「香港ヴァーズ」(15時00分発走)には、エリザベス女王杯で勝利したリスグラシューと2着のクロコスミアが。「香港スプリント」(15時40分発走)には、スプリンターズSを制したファインニードルが参戦する。
牧野記者が言う。
「3頭の中では人気薄のクロコスミアがおもしろそう。北添助手が『前走よりもさらに上向いていると思います』と話していましたし、ドバイ挑戦の経験が生きて自分のスタイルで走れば、一発あると思います」
何かと物入りの年末に向けて、フトコロを暖めておきたい。