海外馬券発売の第4弾となる「香港国際競走」。12月11日、日本では阪神JFが行われる前後に、香港シャティン競馬場で4つのGI戦が繰り広げられる。昨年は日本馬が2勝の大活躍。今年もGI馬8頭を含む13頭が狙いすましての参戦となるだけに、しっかりとチェックし、ガッポリ儲けたいものだ。
あの“世界のロードカナロア”が12年、13年と「香港スプリント」を連覇し、日本の競馬ファンにもおなじみの香港国際競走。
昨年は「香港カップ」で、エイシンヒカリとヌーヴォレコルトがワンツーを決め、「香港マイル」ではモーリスが勝利した。今年も3頭そろって参戦するが、「香港スプリント」には、今年の高松宮記念を制したビッグアーサーやスプリンターズSを制したレッドファルクスが名乗りを上げるなど、国内のGI馬8頭が香港に遠征する。
「海外競馬・勝つためのプレミアム・データ&テクニック」(ガイドワークス)の著者で、競馬ライターの秋山響氏に、まず、シャティン競馬場の特徴を聞いた。
「右回り1周1899メートル、直線は430メートルでほぼ平坦なコースです。芝はドバイのメイダン競馬場と一緒。良馬場であれば、日本馬はあまり適性を気にする必要はないと思います。ただ、実際に歩いた感触は、同じ良馬場で比較すると、散水量が多いためなのか、メイダンのほうが少し重い印象を受けました」
昨年の「香港カップ」ではエイシンヒカリが2分0秒6のレースレコードをマークしているが、これは香港の馬場が、時計がかかるからというわけではない。
「馬場や芝よりも大きな要因が2つあります。1つはタイムの計測方法が違うという点です。ゲートが開くのと同時に計測する香港(英国や仏、豪なども同じ)は、基本的に助走路を設けているJRAよりも、1秒から1秒5ほどタイムが遅くなります」
地元勢や外国馬の持ち時計には、十分に気をつけたほうがよさそうだ。
「2つ目ですが、『香港カップ』のコースは、スタートしてすぐにコーナーに入る特殊なレイアウトのため、序盤のペースが上がりにくく、全体のタイムも遅くなるというわけです」
となると、当然ながら外枠は不利になりがちだ。昨年のエイシンヒカリこそ自慢のスピードで、14頭フルゲートの11番ゲートから逃げ切ったが、2桁枠の勝ち馬は11年ぶりのことで、2着、3着馬は内側の3番、2番ゲートだった。枠順も要チェックだろう。
今年の「香港カップ」には、昨年の覇者エイシンヒカリのほか、秋の天皇賞馬モーリスや同3着のステファノス、エリザベス女王杯を制したクイーンズリング、GI2勝のラブリーデイの5頭が参戦する。
スポーツ報知の関東本紙担当で、海外競馬に詳しい牧野博光記者が話す。
「昨年『香港マイル』を制したモーリスですが、今年は芝2000メートルの『香港カップ』に出走します。秋の天皇賞で2000メートルの距離不安を一掃。コンビを組んだムーア騎手は昨年の香港マイルでも勝利に導いているので、今回も自信を持っていました。それでも頭狙ってみたいのはエイシンヒカリですね。1週前の調教の動きがよく、そのキック力は迫力満点でした」
ただ、気性の勝るタイプだけに、レースの前がポイントになるという。
「昨年の天皇賞・秋は9着に敗れましたが、東京競馬場は地下馬道が長すぎる。6月の英国GIプリンスオブウェールズS(6着)では、女王陛下の前で常歩をさせられて消耗してしまった(笑)。その点、パドックからコースまでが近い香港は問題ない。ここがラストランとなるエイシンヒカリとモーリスのワンツーばかりか、日本馬での上位独占もあると思います」
クイーンズリングの吉村調教師は「エリザベス女王杯のあともガタッときていない」と意欲的で、坂路での調教を開始。デムーロ騎手の継続騎乗も心強い。
15年4月のGIクイーンエリザベス2世C(香港2000メートル)で2着だったステファノスは、藤原英調教師が「見た目も反応もよかった。状態はいちばんいい。コースは合うと思うし、あとはいろんな要素がかみ合えば」と話していたという。牧野記者が続ける。
「枠順や展開、当日の天気と馬場などの要素は、どの陣営も気になるところ。ラブリーデイの池江調教師は『この馬にとってのポイントは馬場でしょう。良馬場でやらせたい』と、天気を心配していましたね」
前出・秋山氏も「モーリスは堅い本命候補」と見ているが、有力馬として地元香港勢からブレイジングスピードの名前をあげる。
「昨年4月のQE2世Cでステファノスを下しています。前走5着に敗れているので、人気を下げるようなら狙い目かと思います」