今年3月にNHKを退局し、ジャーナリスト宣言した有働由美子。しかし10月からメインキャスターを務めている「news zero」(日本テレビ系)では、そのジャーナリスト魂がほとんど発揮されていないようだ。そんな有働の“ジャーナリスト力”が、ライバル番組の中国取材を通して浮き彫りになったという。
12月12日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)では「激変!中国SP『日中友好ムードは本当か?』」と題して、中国にて現地取材を敢行。日中友好をテーマに、トイレ事情やスポーツジムといった柔らかい話題から、抗日ドラマの撮影現場や顔認証システムの最前線といったお堅いテーマまでをバランスよく報じていた。その内容について週刊誌記者が語る。
「現地の金融街では一般市民による“青空投資教室”を直撃取材。中国経済に関して『習近平主席が導いてくれる、絶対に間違いはない』という声と、『中国は(対米貿易戦争に)絶対に負ける。もっと力を付けてから戦うべき』という、相反するコメントを得ていました。また、顔認証システムを手掛ける中国のセンスタイム社の取材では、通行人の顔をわずか1秒で認識し、過去のデータと照合することで、いつどこにいたのかを表示するという“監視社会”の到来を報告。センスタイム社のデータセンターが東京にも置かれていると報じた場面では、ナビゲーターの鎌田靖氏が、中国人の担当者に『保存されたデータが中国政府に流れることは?』と直球の質問をぶつけていました。そして、担当者から『敏感なことなので答えられません』との回答を引き出すことに成功していたのです」
その鎌田氏は元NHK解説副委員長で、有働アナの先輩にあたるジャーナリスト。今回の質問はまさにジャーナリストの面目躍如たる質問となっていた。また、進行役でタレントのSHELLYは得意の英語でインタビューを行い、入社3年目の片渕茜アナでさえ顔認証システムを前に「マーケティングに使えますよね」と指摘するなど、番組全体を通して取材力の高さを示していたのである。
「それに対して去る11月16日放送の『news zero』では、有働アナの中国取材を報じていましたが、その様子はまるで中国企業の宣伝役でした。無人スーパーや顔認証システムを紹介しつつも、相手の急所に切り込むような質問はゼロ。しかも変装して顔認証システムを試す場面では『うっそー、なんでー!どこで?』とギャル口調で驚く始末です。番組のラストには街中に林立する監視カメラの数に驚いていましたが、その程度なら一般観光客でも同じように驚くはず。鎌田氏が『未来世紀ジパング』で見せたジャーナリスト力とは、比較するのも失礼なほどの実力差を露呈する結果となりました」(前出・週刊誌記者)
ただでさえメイン視聴者であるビジネスマン層から見放されつつある「news zero」。この調子だと「テレビ東京のほうがおもしろい」という評価が増えることになりそうだ。
(金田麻有)