常に新陳代謝を繰り返す競争の熾烈な芸能界において、2018年もまた注目すべき“ニューカマー”が台頭した。彼らは一様に今年の漢字「災」と呼ぶにふさわしい災難に見舞われたという共通点が見えてくる。
「お笑い界のビッグ3」を形成するビートたけしに明石家さんま、タモリといった重鎮らが、いまだに健在でお茶の間を盛り上げ続けている一方、10代~20代、そして30代~40代の働き盛りの世代ではあらゆるジャンルにおいて激しい“椅子取り競争”が展開されている。
まずは今年5月にファッション誌「ELLE JAPON」の表紙を飾り、衝撃的なデビューを果たした俳優の木村拓哉と歌手の工藤静香の次女でモデルのKoki,(「o」の上に「‐」)だ。15歳とは思えぬ圧巻のスタイルと艶をまとい、現在テレビに雑誌に大活躍の藤田ニコルに「同年代じゃなくて良かった」と言わしめるほど、今年は別格の注目度を誇った。ブルガリのアンバサダー就任に加え、「ELLE」主催の“ライジングスター賞”にも輝くなど、当分はKoki,フィーバーが続きそうだが、当の母親・工藤静香の“嫌感度”が伝染。何かと叩かれがちな存在であることも確かだ。
男性アイドルの分野では、やはり5月にデビューシングル「シンデレラガール」を大ヒットさせたジャニーズ事務所期待のKing & Prince(キンプリ)は特大のロケットスタートを切ったと言えるだろう。あまりの人気ゆえ、彼らを執拗に追う熱心な女性ファンによる“新幹線遅延騒動”や、一部メンバーの早速の熱愛報道、休業というミソがついてしまった。
お笑い界においても、2組の新星が羽ばたいた。
まずは、コントNo.1を決する「キングオブコント2018」で先輩のチョコレートプラネットとデッドヒートを繰り広げた結成わずか4年目のお笑いトリオ・ハナコだ。彼らのネタを目の当たりにした松本人志が「4年目でこの完成度は凄い」と褒めちぎったように、早熟の注目トリオとして最近では多くのバラエティ番組に登場すると、少しでもインパクトを残そうと随所で悪戦苦闘。現時点では同大会3位に終わったチョコプラの場数の多さと存在感に圧倒されてしまい、イマイチ個性を発揮できていない。
そして、2018年の暮れに滑り込みでニューカマーの仲間入りを果たしたのが、「M-1グランプリ2018」で和牛やジャルジャルといった実力派を退けて頂上に立った漫才コンビ・霜降り明星だ。
最終決戦では、同大会の最有力優勝候補として掲げられていた和牛の3票を上回る4票を確保し、見事漫才No.1に君臨。奇想天外なボケを身振り手振りで体現するせいやと、鋭利でレスポンスの速いツッコミを入れる粗品によって構成される26歳と25歳の新星コンビで、こちらも先のハナコと同じく、早熟にして審査員と観客を唸らせる完成度の高いネタを披露した。
しかし、2018年度のM-1グランプリをめぐっては、大会後のとろサーモン久保田かずのぶとスーパーマラドーナ武智による上沼恵美子への暴言動画が、連日のようにネットニュースとワイドショーを飾り、うっかりすると半年後には優勝者の名前を忘れてしまいそうな雰囲気さえ漂い始めた。
2019年、彼らが「災」を跳ね返しスポットライトを独占し続けることを期待したい。
(木村慎吾)