やはり、「フリーズぐらいならいいか」ではなく、脳の“再起動”を目指すべきなのだ。
脳の海馬という部分が短期記憶の重要な役割を果たしていることはわかっている。とはいえ、脳が記憶するという作業の全てが科学的に解明されているわけではない。
そうした現状で、脳を活性化させる方法は単純には見当たらない。しかし、認知症予防に役立つとされる習慣は存在する。それは、脳の機能低下を防ぐことにつながり、「もの忘れ撃退」の鍵になると考えられる。
前出・中崎氏が話す。
「認知症の約50%を占めるのがアルツハイマー病型です。このアルツハイマー病には、後天的な危険因子が数値化されています。例えば、タバコもリスクの数値が高い。タバコを吸わない人より吸っている人のほうが、アルツハイマー病になりやすいと言えます」
タバコを吸うと血管が収縮し、血流が悪くなることは広く知られている。脳の血流が悪くなれば、認知症の一因となるのも明白だ。喫煙している人が最初に始めるべき“再起動”は、禁煙するということだろう。
タバコとともに、オヤジのたしなみの代表格と言えるのが酒だろう。
「欧米の研究では、適度の飲酒者は飲まない人や過剰飲酒者よりも認知症やアルツハイマー病になりにくいという結果が出ています。とはいえ、このホドホドというのは難しいところではあります」(前出・中崎氏)
確かに、欧米人と日本人の酒の適量というのは違う。すると、自分の尺度が肝心となる。もちろん下戸の人が無理に飲むのはご法度だ。飲める人も泥酔するほど飲まないことを心がけたい。
さらに、アルツハイマー病の危険因子の項目を見ると、高血圧、高コレステロール血症などの文言が並ぶ。いわゆる成人病予防と似ている。となれば、やはり適度な運動も欠かせない。
前出・中崎氏が言う。
「まったく運動をしない人よりは、運動をしたほうがアルツハイマー病にはなりにくい。実際に、私も認知症の患者さんには体を動かすことをアドバイスします。それから、患者さんにはニュースを見たり、新聞を読むことも勧めます。自分が置かれた状況を理解することに役立つからです」