今年11月に消費者庁が発表したデータによると、平成28年度における高齢者のお風呂に入っている最中の不慮の事故による死亡者数は4821人。同じ年の交通事故による死亡者数3061人よりも圧倒的に多いのだから驚く。
入浴中の急死の中には、病死と判断されることもあるため、入浴中の急死者は全国で年間1.4万人との推計もある。
さらに、高齢者の家の浴槽における入浴中の死亡事故は年々増加傾向にある1月をピークに、11月~3月の冬季に多く発生しているという。つまり、これからが風呂場での突然死が本格化するということだ。
風呂場の突然死の原因と考えられているのが、いわゆる“ヒートショック”。急激な血圧の上下変動によって健康被害がおよぶ現象で、入浴中に心肺停止を起こして急死する人のほとんどがこれを原因としているという。その突然死のメカニズムについて、脳神経外科医のアキラッチョ医師が解説する。
「暖房をしている部屋に比べて、脱衣所や浴室は室温が10℃以上も下がる場合があります。外気温が急激に下がると、体の血管がびっくりして収縮反応を起こし、急激な血圧上昇を引き起こします。この急激に上昇した血圧が、さらに温かいお湯につかることで全身の血管は拡張するため、今度は急激な血圧低下を起こしてしまいます。この急激な血圧変動が脳梗塞や失神を引き起こすというわけです。入浴中の失神は、溺死の危険性さえあるのです」
もしかしたら、浴槽があなたの「棺桶」になるかもしれないのだ。
現在発売中の「週刊アサヒ芸能」1/17号では、真冬にはびこる病魔を一掃するべく、そのほか寒さの中で急増する病気・体の痛みの原因、予防対策を一挙紹介している。身も心も縮こまる季節を元気に乗り切ろうではないか。