原監督の身辺が慌ただしい中、今回の青学教授就任は箱根5連覇へのプラスになりそうだ。スポーツライターが内情を明かすには、
「17年11月頃はチーム崩壊の危機に直面していました。この年の3月5日、立川シティハーフマラソンはユニバーシアード代表権(上位3人)を巡る大切な舞台にもかかわらず、原監督は自民党の党大会に出席。『陸上界をアピールするため』とはいえ、知らされていなかった学生との間に溝が生じました。そして4月には早大の大学院に入学し、以降、多数のメディアに露出する日々を送り、コーチ任せの日が増えた。当然のように10月の出雲路2位、11月の伊勢路3位と無冠のピンチを迎えて、緊急ミーティングが重ねられたものでした」
だが箱根では2枚看板の4年生を3区(区間2位)と8区(区間1位)に配置し、新記録で総合優勝。4連覇を達成した。スポーツ紙アマスポーツ担当記者も称賛を惜しまない。
「原監督が名将と呼ばれるゆえんです。4年生エースが後ろに控えていることで、2区の森田歩希が区間賞、7区の林奎介は初舞台にもかかわらず、区間新記録まで樹立。今回は主将でエースの森田をはじめ、レースの流れを一人で変えられるチェンジャーと呼ばれるトップ級選手を6人もそろえるほどの充実ぶりです」
前大会の優勝メンバーが7人も残り、強さの指標となる1万メートルの平均タイムも出場23チーム中トップと、もはや死角が見当たらない。
「今の原監督からは余裕が感じられる。『大学院で学んだことで統計学的なアプローチが可能になり、選手の成長も数字で説明できる。青学メソッドが確立し、必勝法も解明できた』という旨の話をにこやかにしていましたね。あとは10人のメンバー選びと配置の妙。『最後の最後は科学を超えた人間の情や魂が結果に影響する。そこが腕の見せどころ』と抜かりなさそうでした」(アマスポーツ担当記者)
とはいえ、ライバル勢も黙ってはいない。
「対抗を挙げるとすれば、前大会で往路優勝、総合2位の東洋大。黄金世代と呼ばれた3年生の逸材を多数そろえる東海大。あるいは予選会をトップ通過した駒澤大でしょうか。往路で青学よりもどのくらい前につけられるかがポイントでしょうね」(折山氏)
前大会では東洋大がスタートダッシュを決め、4区までで青学に2分以上の差をつけて山を駆け上がったが、ゴール地点では36秒差まで詰め寄られた。東洋大の佐藤尚コーチが往路のポイントを解説する。
「駅伝はやはり先手必勝。花の2区はエース対決になるので、ポイントは1区です。例年、スローの展開になりがちでタイム差が広がりにくいですが、スピードランナーが飛び出せば波乱が生まれそう。今年は国士舘大にケニア出身の留学生が2人いるので、1区と2区で起用されるとおもしろい」
スタート直後の展開を注視したい。