「僕の死に方・エンディングノートダイアリー500日」(小学館)を死後に発表したことで話題になった、流通ジャーナリストの金子哲雄氏(肺カルチノイドで死去、享年41)は、同書でこう記している。
〈私は自分の「最期」を最後の仕事として、プロデュースしようとしていた。最初に取り掛かったのは遺産整理だ。──中略──死後、揉めるのはお金のことだけじゃないそうだ。葬儀のやり方、納骨をどうするか、お墓の問題‥‥ありとあらゆることで、残された人間が言い争い、険悪になる可能性がある。例えば単純な話、葬儀費用を誰が出すかで問題になることもあるそうだ。喪主が妻だとしよう。妻が夫の遺品の一部から、葬儀費用を出す。夫の葬式を夫のお金から出すのだ。しごくまっとうなやり方のように思えるが、そうではない。葬儀は喪主負担という考え方もあるとのことだった。死んだ人を悼む気持ちは同じなのに、お金で争ってしまう〉
それを回避するためのエンディングノートにしたかったと記している。
エンディングノートに書き記す事項としては、介護、成年後見人、みとり、自分で意思表示できなくなった時の終末医療、葬儀、遺品整理などについての希望の他、財産、お墓、病歴・かかりつけの医者についても具体的に書くとよい。
ここで言う成年後見人とは判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため、本人のために法律行為を行い、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度のこと。前出・三国氏が解説する。
「成年後見制度にも2つ種類があり、任意後見と裁判所が決める法定後見がある。そして判断能力のある元気な時に、自分の意思で自分の望む生き方を自分の望む人と契約するのが任意後見です。例えば、体が不自由になった時、金銭の管理、生活費の支払い、もろもろの契約、要介護認定の申請、ホーム入所、入退院に関することなどを自分の望む人と前もって契約しておくわけです」
いわば、自分がどう生き、どう死ぬか。体が不自由になった時、手助けしてくれる人との契約と言える。