本誌1月24日号で報じた板東英二の5000万円所得隠し問題は、テレビ局社長がコメントを出す異例の騒動になっている。反省する様子もなく都内で潜伏生活を楽しむ板東だが、なんと過去には脱税を推奨する本まで出版していたのだ。そこには、納税の義務を真っ向から否定する悪辣すぎる“犯罪手口”が─。
現在、全ての出演番組を降板している板東英二(72)。復帰に関する本誌の取材に対して、CBC(中部日本放送)広報部からファックスが届いたのは2月1日のことだった。
「弊社は、現在休止している『そこが知りたい 特捜!板東リサーチ』と『板東英二の南山マスターズ2』の2番組に関して、1月をもって放送を終了することを決めました。板東さんには弊社番組で活躍していただいたので、(今回のことに)ショックを受け、残念でもありました」
板東にとってお膝元と言える名古屋での冠2番組が打ち切りにまで至った脱税事件を社会部記者が振り返る。
「昨年末、彼の個人事務所『オフィスメイ・ワーク』が名古屋国税局から約7500万円の申告漏れを指摘され、約5000万円の所得隠しが発覚しました。事務所が、知り合いの企画会社に架空の請求書を出させる方法です。請求額に従って相手口座に入金すると、必要経費を差し引いた残りが板東本人や、事務所の関係者に現金で戻る方法で所得を隠したのです。企画会社には、謝礼と称して架空請求額の15%前後を支払い、口封じしました。支払う割合はその時々で、事務所側で設定していたことも調査で明らかになりました」
96年頃、架空請求は板東の指示により事務所が行う形だった。しかし、00年以降は本人が直接指示していたことや、企画会社に合計で1億円もの金をバックしていたことも明らかになったのだ。
板東サイドが重加算税を含めた追徴課税約2800万円を支払う形で、逮捕までは至らず事件はいちおうの決着をみた。しかし、高島総合法律事務所の高島秀行弁護士はこう解説する。
「税金を払わないように意図的に工作をしている悪質なものです。逮捕こそ免れたものの、偽装工作により国民の義務である納税を放棄した脱税という犯罪だと言っていいでしょう」
CBCの判断も、“犯罪”を看過できない事情があったことは間違いない。この種の違法行為は長年ノウハウを蓄積して実行に至るのだが、板東は、今回の脱税に手を染める10年前の86年に、すでにある本を著していた。「板東英二の金はこうして儲けるんや」(主婦と生活社)と題された本には、今や球界関係者の間で「判盗円爺(ばんどうえんじい)」と揶揄される彼の金にまみれた人生観ばかりか、実に一章ものボリュームを割いて得意気に脱税を指南する記述までしていたのだ。