「喜怒哀楽」をムキ出しに自説を振りかざす「橋下流」の政治手法。特に「怒り」に任せて“抵抗勢力”を叩く姿には拍手喝采が起こったものだ。今回も「全方位口撃」とばかりに、大物3人を相手にブチかましたが、以前とは様子が違う。勝負の行方が知れない「最新バトル」3本勝負の白黒をつけたるッ!
「入試中止は在校生や新入生にプラスになるのか?」
1月29日、情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)でキャスターの小倉智昭(65)は問いかけた。中継でつながれた橋下徹大阪市長(43)は、事もなげに自説をぶった。
「絶対にプラスになる。私は、桜宮高校が新入生を迎え入れる態勢にあるのか、を見てきた。結果、教育委員会も含めて、そういう状況ではないと判断した。学校を立て直してからだ」
その後も、小倉は「問題は体育科だけなのか」「バスケ部顧問の教員を辞めさせることで、学校を再生できないのか」と次々と質問を繰り出す。もちろん、橋下氏が“決断”した大阪市立桜宮高校体育系2科の入試中止に反対する立場からの質問であった。
ところが、橋下氏はうなずきながら質問を聞くと、即座に持論を述べる。それは、「桜宮高校の新しい教育方針が定まらないうちに新入生を迎えるのは無責任」との立場から、入試中止は正当な判断という答えばかり。そして、橋下氏は学校側だけでなく、「誤った指導法を『問題がない』と考えていた在校生や保護者にも意識改革が必要だ」と続けるのだった。
およそ30分にわたる生放送での激論は終始、平行線をたどった─。
この放送の前後、橋下氏のツイッターは、入試中止に関する“つぶやき”にあふれていた。それも、入試中止を疑問視するメディアへの罵りの“つぶやき”が圧倒的に多かった。
例えば1月23日には、作家の曽野綾子氏(81)が槍玉にあげられた。
〈地球上で曽野氏以上に謙虚さのない人間もいない〉
橋下氏がこれほど怒ったのは、産経新聞に曽野氏が毎週水曜に連載しているコラムだった。当日に掲載されたコラムは「体罰と人間観」と題されていた。バスケ部顧問も橋下氏も〈自分の影響力で人を変えられるという信念に満ちている〉と相反する2人の共通点を指摘。そして、人間観について説いたものだ。
しかし、橋下氏は気に入らないようで、〈ひねくれコラム〉〈一行書けば分かること〉などとケチョンケチョンにけなす。いや、それどころか、曽野氏をこう一刀両断にしてしまう。
〈この人は本当に(洞察力が)『浅い』と感心してしまった〉
曽野氏は保守派の論客としても知られ、安倍晋三総理(58)とも近しい関係である。実際に「教育再生会議」の一員でもある。この件でも、橋下氏はこうかみついているのだ。
〈教育不再生会議になってしまう〉
曽野氏は一連の橋下氏のツイッターでの発言を無視。翌週の連載コラムではアルジェリア人質事件についてつづっている。この大人の対応が肝心なのだ。反論でもすれば、橋下氏は何倍もの量で言い返してくるのだから‥‥。