「日本維新の会」共同代表としての顔も持つ橋下氏。ところが、この国政の場でのバトルでは、簡単に“勝ち”を拾えていない。
「みんなの党」代表の渡辺喜美氏(60)との舌戦はまさに典型である。
発端は1月27日の「みんなの党」党大会での渡辺氏の発言だった。
「維新との合流はない。維新には猛省を促したい」
夏の参院選に向けて、野党集結を目指していた橋下氏は出はなをくじかれた。
そして、自分のことが気に入らないなら代表を退いてもかまわない、としてこう反論した。
「(渡辺氏は)もう少し大人の政治家になってほしい」
それに対し、渡辺氏はこう言い放った。
「その言葉をそっくりそのままお返ししたい」
昨年の衆院選前に両党は基本政策で合意しておきながら、選挙協力までには至らなかった。そうした経緯があるせいか、橋下氏は珍しく白旗を上げる。
1月29日のツイッターでこう明かした。
〈渡辺代表の留守番電話に批判合戦をエスカレートさせるのは止めましょうとメッセージを入れました〉
こうして、両党の幹部間の協議が再開し、再び基本的な政策では一致を見た。
ところが、渡辺氏はこう斬って捨てたのだ。
「選挙協力の権限を持っていない人たちが集まっているわけで、どうでもいい話だ」
橋下氏もすっかりやり込められているのだ。
政治部デスクが言う。
「渡辺氏は、自公に対抗する勢力を作ろうという中心は自分だという自負もあるでしょう。その中心に橋下氏がいることが気に入らないという面もあるかもしれないが、それ以上に自民に近い旧『たちあがれ日本』のメンバーが維新内部にいることを毛嫌いしているのです。幹部間協議でも、旧たちあがれのメンバーが参加していて、『政策なんてどうでもいい』と、まず合流ありきの態度だったそうですからね。みんな側も疑っていて、『合意できているかどうか試すために、脱原発法案を共同提出させよう』という意見もあるほどです」
衆院選前の遺恨がいまだ払拭できていないのだ。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「衆院選前は橋下氏が『みんなの党を捨てろ』と渡辺氏に“踏み絵”を踏ませようと迫っていましたが、今度は渡辺氏から『旧たちあがれを切れ』と“踏み絵”を迫られているのです。橋下氏もやや冷静さを欠いているように見えます」
橋下氏がツイッターでほえたのも、この“敗戦”のうっぷん晴らしだったのか。市教委による汎愛高校柔道部での体罰隠しが新たに発覚した今、橋下氏の「全方位口撃」はまだまだ続きそうなのだ。