平成最後となる「バレンタインジャンボ宝くじ」が2月22日まで発売されている。1等・前後賞合わせて3億円! 夢の億万長者を目指し、連日行列ができる売り場もある中、関東に店舗を構えるオーナーが、これまで語られることのなかった「売り場の舞台裏」を赤裸々に明かしてくれた。
関東地方の商業施設内に併設される宝くじ売り場。広い駐車場が完備され、休日は多くの家族連れでにぎわうなど、立地条件としては申し分のない場所だ。
この日も売り場は盛況。にもかかわらず、現場を見守るオーナーの口調は重い。
「当売り場は、昨年の年末ジャンボ宝くじであれば5万枚(1500万円相当)ほどさばき、この地域では実績店の一つだと思います。しかし、内情を明かせば、昨年は赤字。というか、ここ2年の売り上げは2割ほど右肩下がりで、もう店を閉めたい、というのが本音ですね」
宝くじ売り場が赤字とはどういうことなのか。事務所に戻り、伝票帳を見ながらオーナーが続ける。
「例えば、年末ジャンボ宝くじの仕入れ値を見ると、1枚が約280円でした。1枚売って20円弱の利益ということです。1年間で最も売れる年末ジャンボでさえ、1カ月に5万枚売って100万円ほどです」
その伝票帳をパラパラとめくり、仕入れ値に目を向けると、1枚200円券で約182円、100円券は約90円と記されていた。
「実は昨年、この厳しい現状をみずほ銀行の担当者に相談したんです。『黒字の売り場は、どんなことをしているんですか?』ってね。すると『今、全国の売り場の大半が赤字なんですよね』と。愕然としましたよ。思わず『大半って、9割近くですか』と確認したほどです。売り場の状況は、予想以上に悪化しているようですね」
しかも、宝くじの種類や枚数、連番やバラの比率などは「みずほ銀行の担当者任せ」だという。
「『前回と同じぐらいでいいですかね?』と聞かれ、『そうですね』という感じです。昨年の年末ジャンボの内訳は、プチが6000枚、ミニが1万枚、残り3万4000枚がジャンボ。もし完売すれば1000枚単位で追加注文となるのですが、昨年は数百枚ほど売れ残りました。連番とバラの比率もお任せで、1束(1000枚単位)ごとに『連番』『バラ』と書かれている。3対7ぐらいの割合で『バラ』のほうが多かった」
また、昨年の年末ジャンボ宝くじでは、新しい買い方として「福バラ100」や「福連100」などが加わり注目を集めたが、現場の反応は冷ややかだった。
「どちらも購入費は3万円(100枚)で、必ず6000円(300円×10枚+3000円)以上の当せんが確定します。なので『実質2万4000円で億万長者の夢を買える!』みたいなうたい文句で購買欲をかき立てる売り場もあったみたいですね。『2割引きのお買い得セット』みたいなイメージでしたが、うちではあまり売れませんでした。最近、3万円分も購入する人は少ないですよ」