宝くじは全国の地方自治体が総務大臣の許可を得て発売元となり、みずほ銀行などに発売などの事務を委託している。
「みずほ銀行も売り上げアップのために新しい買い方だけでなく、新CMを展開したり、売り場の支援も打ち出してはいます。でも、大名商売ですよね。年末ジャンボの発売前にも、2時間ほどの講習会がありました。全国各地で売り場の責任者が一堂に会し、全国の会場を中継で結んで行うイベントです。『皆様の笑顔で成功させましょう』と、宝くじ関連のビデオを見せられたり、『今年はCMに役所広司さんを起用します!』という発表などです」
さらに「派遣店員の斡旋まであって、ビックリしました」と明かす。
「1人当たり1日2万円以上もかかる。いくら若い美人の派遣店員で、マイクパフォーマンスや旗振りを冬空の下でやってくれるとはいえ、高額ですよ。売り場に立てるのぼりも1本2000円近くで購入しているわけですから、派遣店員なんて‥‥。出席者の多くがアゼンとしていました」
ただ、売り場にとって、販売店員の確保は悩みのタネの一つ。対面販売の宝くじは、売り買いが手渡し作業で、神経をすり減らしてしまうからだ。
「購入後の返却は受け付けられないので、その場でしっかりと確認作業をしないといけません。レシートがありませんから、ミニかプチか、連番かバラか、枚数は間違っていないかなど、一つ一つ確認をしながら売る。商品のバーコードをサッと読み取り、お釣りが正確に出てきて、レシートも発行される一般のレジ打ちとはまったく異なり、人材の確保が大変なんです」
そうした負担を軽減するため、地域によっては今夏「POSシステム」を導入する動きも浮上している。
「でも工事費や機材の高額なレンタル料がかかるため、その費用の捻出に頭を抱えているという話を聞きます。なんせ赤字続きですからね。売り場の改善も課題ですが、私としては、新しい宝くじの発売も企画してほしいです。年末ジャンボの際、年配の方々から『10億円なんていらない。1億円でいいから、当せん本数を増やしてほしい』という声がものすごく多かった。『1枚100円で1億円』なんて、どうでしょうか」
はたして、そうした宝くじの発売は可能なのだろうか。宝くじアドバイザーの長利正弘氏が話す。
「1等の当せん金は、単価の250万倍まで可能ですから、『1枚100円で1億円』というのは、いい案だと思いますよ。あと私は、若い世代が興味を引くような『年金型宝くじ』がおもしろいと思っています。賞金を一度にもらうのではなく、例えば米国では『毎年約290万円』、カナダでは『毎週約8万円』を、それぞれ生涯もらえるというものです。日本で発売するのには課題もありますが、海外ではすでに行われています」
ファンが喜ぶ宝くじが登場し、売り場も潤う日が来るのだろうか。みずほ銀行の次の一手が待たれる。