自民党OBが、その内情を明かす。
「憲法改正を旗印に安倍さんと組むというのは、常に小沢さんのオプションにあったようだ。そもそも小沢さんは『反自民』じゃない。やりたいことは政権交代可能な小選挙区制の導入と改憲で、前者は民主党で政権を取った際に一度は実現させた。あとは改憲だよ」
大連立を成立させるための「つなぎ役」が橋下氏だとすれば、「基礎工事」を担うのが小沢氏なのだ。この自民党OBが続ける。
「細野豪志(47)が無所属のまま自民党・二階派入りしたのも、裏で糸を引いているのは小沢さんだよ。二階・細野の2人で決めるなんてことは絶対にない。しかし、いくらなんでも安倍さんが細野さんを拾うわけにはいかないから、かつて新生党や新進党で行動をともにした二階さんに『いろんな動きがあるから、とりあえず細野の面倒をみてくれ』と託したわけだ。細野さんの動きは安倍総理にとっても、『この先は何でもアリだ』という党内への強烈なメッセージになる。大連立への布石というわけだ」
小沢氏は過去に、今回の大連立画策と同様のことをした経験がある。永田町関係者が回想する。
「民主党が政権を取ったあと、鳩山由紀夫氏(72)が退陣に追い込まれた。小沢はあまりの政権運営能力のなさに失望し、福田康夫元総理(82)に話をつけに行ったんですよ。『週末は地元に帰ってドブ板をやれって言っても、全然やらずにテレビにばっかり出ている。選挙をやればまだ勝てるだろうけど、そのうち政権運営が行き詰まるから、連立を組もう。民主党を丸ごと差し出すから、合体してくれないか』と。福田氏はそれにOKを出したんだが、岡田氏ら頭のカタイ連中に猛反対されて流れた経緯がある」
まさにその手法をもってして、今回の動きに至っているのだ。
とはいえ、山村氏は、その強烈すぎる手腕が逆に連立を妨げるのでは、との疑念も捨て切れないという。
「一部の自民党古参議員にとっては、かつて自民党を離脱して牙を剥いた小沢さんこそが、まさに不倶戴天の仇ですからね。一生とけないほどの怒りを抱えている人もいる。合流に際しては小選挙区の立候補者の調整もありますが、自民党は現状では満席状態ですから、その意味でもよほどちゃんとした根回しが必要になってくるでしょう。橋下さんがどう立ち回るか、というのも重要でしょうね。そもそも私は、『国民民主党+自由党』との連立は、立憲民主党の枝野代表から出た案のひとつだという話も聞きました。それに感づいた自民党が(野党結集を封じるため)横からかっさらっていった形だとか。その経緯を考えても、実現に向けてまだまだいくつかハードルがあるのでは、と個人的には感じていますが‥‥」
サプライズの「新政権」誕生に向け、策士たちはさらに動きを激しくさせていく──。