それではと、先の自民党大会では、二階俊博幹事長(80)が「完全オフレコ」としながら、
「私は、総裁にさらに頑張っていただきたいという声が出てくると思う」
と、再び党則を変更しての「安倍4選」の可能性を示唆したが、現実的なハードルは高い。そこで安倍総理は考えた。
「それが『総総分離』です。自民党総裁=総理大臣ではないとする。総裁任期をこれ以上延ばすことは難しいが、総裁でなくなっても総理はできる。党内の『ポスト安倍』には、総裁選を戦った石破茂元幹事長(62)、河野太郎外相(56)、岸田文雄政調会長(61)らが挙がりますが、いずれも役者が不足しています。安倍さんはまず橋下さんに副総理、あるいは憲法改正担当大臣などのポストを与え、自分の任期中に憲法改正の地盤を一緒に整えていくつもりなんです」(自民党関係者)
山村氏は、このウルトラC合体説には公明党への牽制の意図も込められているのでは、と推測する。
「本来、今年の参院選では、野党が候補を一本化してくるため、自民党も立候補者を追加で擁立する構え。選挙区によっては、公明党の候補者とがっぷり四つになるケースも出てくる。となれば、公明党以外の連立与党の存在は自民党にとって、(改憲に及び腰な姿勢の)公明党に強く出るうえで非常に有用になると思います」
大連立によって、改憲慎重派の公明党の協力は不要となり、安倍自民は「政権に残るかどうかは決めてくれていい」との姿勢も可能になる。
幾重にも張り巡らされた安倍総理の思惑とは打って変わり、玉木氏と国民民主党にとっての大連立のメリットは、非常にシンプルなものだ。政治部記者によれば、
「安倍総理は野党を分断したい。小沢氏にしても、立憲民主党よりはるかに御しやすい玉木氏に白羽の矢が立ったわけですが、国民民主は、2月12日の最新NHK世論調査での政党支持率が、わずか0.6%しかなかった。安倍氏に『悪夢』と呼ばれた民主党のイメージを立憲民主党の分まで押しつけられた形で、現状では選挙を乗り切れない。しかも玉木氏は、同じ民主党だった枝野氏とは反目し合っている。反安倍やリベラルの象徴として枝野氏にばかり注目が集まることが玉木氏は気に入らない。そのうえ、橋下氏が野党統一候補を出すにあたり予備選をやるべきとの主張に対し、枝野氏は話を聞こうともしないわけですから。そりゃ嫌いに‥‥」
国民民主党にとってはまさに、天から垂らされた「蜘蛛の糸」だったわけだ。
こうした一連の安倍プランを秘密裡に実行に移すべく暗躍しているのが、「剛腕」と呼ばれて久しい小沢氏なのである。