統計不正問題の追及で連日袋叩きにあい、失言連発大臣に無能の烙印が押されても、なお強気の姿勢で野党を突っぱねる安倍政権。だが今夏の参院選に向けて堅持すべき長期体制は、盤石だとは言いがたくなってきた。ならばどうするか。今、永田町では「驚くべき延命・再生計画」が秘密裡に進行していた──。
「少なくともバラ色の民主党政権ではなかったことは事実だ」
「今の発言、まったく了解できませんよ! 取り消しなさい!!」
「取り消しなさいと言われても、取り消しません」
2月10日に行われた自民党大会での「悪夢のような民主党政権」という安倍晋三総理(64)の放言を巡り、12日の衆院予算委員会が紛糾したことは記憶に新しい。安倍総理と岡田克也元民主党代表(65)による冒頭のやり取りは滑稽で、まるで出来の悪いコントのようだった。
「厚労省の統計不正問題が発覚して以降、野党は安倍内閣の根幹を担うアベノミクスとその成果こそが偽装されたものだと攻撃を強めました。コトがコトだけに、いよいよ安倍総理も余裕がなくなった印象がアリアリ。不用意な発言にも焦りがにじみ出ていると思います」(全国紙政治部記者)
政権に何度目かの逆風が吹く中、安倍総理が自民党総裁に再選した昨年9月以降、動きがにわかに活発となっている「元政治家」がいる。大阪維新の会の法律顧問を務める橋下徹氏(49)である。
「橋下氏は昨年9月に『政権奪取論 強い野党の作り方』(朝日新聞出版)、10月には『憲法問答』(徳間書店)、そして今年1月にも『沖縄問題 解決策はこれだ!』(朝日出版社)と、立て続けに現政権と政界に切り込んだ著書を出版。『週刊朝日』(2月9日号)では田原総一朗氏と対談し、『野党が弱いので安倍政権は余裕です。(中略)強くするために、野党間での予備選の実施くらいはメディアがたきつけないと』など言いたい放題でした。ご意見番としての足場を着々と固めようとしています」(政治部記者)
時を同じくして、永田町でも、ある動きがみられた。1月末に小沢一郎共同代表(76)が率いる自由党と玉木雄一郎代表(49)の国民民主党が統一会派を結成。野党大結集に否定的な立憲民主党(枝野幸男代表・54)との野党第一会派争いが勃発したのだ。
「実は橋下氏と統一会派の動きは連動している」
と明かすのは、政権の内情を知る官邸関係者である。
「つまり、橋下氏と小沢氏、玉木氏が手を組みひとつの塊になる。そしてその塊ごと安倍政権と合体し、大連立を形成する。総理周辺では今、そんなプランが描かれているんです。統計不正問題については、玉木氏ら国民民主党の議員が舌鋒鋭く安倍総理を批判しているし、小沢氏も『安倍政権はいいと思えるところがそんなにない。もう一度、悪夢を見てもらわなければいけない』と厳しい口調です。ですが、それらは全て、見せかけのバトルと言わざるをえません」
にわかには信じがたい与野党の大連立。そうした水面下の動きをほのめかすかのように、2月7日には橋下氏、小沢氏、玉木氏の3人がそろってAbemaTVの討論番組で共演し、安倍政権について語っている。