3月に入り、クラシックの蹄音が大きくなってきた。今週は牡馬クラシック第1弾、皐月賞のトライアル・弥生賞が行われる(3着までに優先出走権)。これが中山競馬のメインだ。
頭数は少ないが、とにかく顔ぶれがいい。
新馬-京成杯を連勝したラストドラフトが最有力だろうか。そしてダービー馬ワグネリアンの弟・カントル、母がGI勝ち馬のサトノラディウス、巻き返しを図る重賞2勝のニシノデイジーがこれに続くが、いずれも好素質馬。力量に開きはなく、これらが激突することを思うと、どれだけ見応えがあるか。ファン必見の一戦と言っていい。
とにかく、弥生賞を制してその後、クラシック、GI馬になった馬は枚挙にいとまがない。05年ディープインパクト、06年アドマイヤムーン、09年ロジユニヴァース、10年ヴィクトワールピサ、11年サダムパテック、最近では15年サトノクラウン、16年マカヒキという具合で、とにもかくにも注目すべき重賞だ。
それだけに、大きく荒れることは少ない。13年にカミノタサハラ(6番人気)が勝ってミヤジタイガ(10番人気)が2着。馬単で12万超の俗に言う“ハネ万”になったことがあるが、馬単が導入された03年以降、これまでの16年間、馬単での万馬券は2回(馬連では1回)のみ。この間、1番人気馬が9勝(2着2回)、2番人気馬は5勝(2着2回)。1、2番人気のワンツーが4回あり、無謀な穴狙いは避けるべきだ。
しかし、素質馬ぞろいで、前述したように各馬に力の開きがそうないのであれば、穴党としては、やはり人気薄の馬に目をつけてみたい。
吟味してみて浮かび上がるのは、ヴァンケドミンゴだ。今回は3カ月ぶりの実戦で、前走は500万特別で7着に敗れている。ならば、無謀な狙いとみられてもやむをえないところだ。
が、その前走は、中間、やや楽をさせたことで馬体に余裕があった。いわば、重め残りの仕上がり状態だったのだ。
だから参考外にしていいのだが、それでも勝ち馬との差はコンマ5秒。巻き返しは十分可能なはずで、あらためてこの馬の力量を問うてみたい。なぜなら、昨年の皐月賞2着馬サンリヴァルの全弟という血統馬だからだ。
厩舎も兄と一緒で、藤岡健調教師は両馬を比較して「柔軟性に富んでおり、素質はサンリヴァルに見劣らない。均斉の取れた馬体だし、今後が楽しみ」と、弟の素質を高く評価する。
だからこそ、強敵ぞろいの重賞にぶつけてくるわけで、期待しないわけにはいかない。
前走後のリフレッシュ放牧が功を奏したのか、帰厩後はしっかり乗り込まれており、中間の稽古内容がすこぶるいい。1週前の追い切りも文句なしで、藤岡健師は「心身ともに成長している。馬体が締まって、前走より動ける状態にある」と、臨戦態勢がすっかり整っていることを強調する。
祖母はオークス馬。よほどの道悪にならないかぎり、大きく狙ってみたい。
一方、阪神でのチューリップ賞は、桜花賞のトライアル戦。期待を寄せたいのは、ノーブルスコアだ。
前走のエルフィンSは、伸びきれず2番人気を裏切っての3着。が、この時は馬体に余裕があり、パドックでは落ち着きがなく、本来の姿になかった。
この中間は馬体が締まっていい雰囲気。1週前の追い切りは実に軽快だった。ならば、チャンスがあっていい。
全欧2歳王者ダビルシム(モルニ賞などGI2勝)が近親にいる良血。クラシックを狙える逸材だ。