特に冬場は注意が必要だという。
財団法人日本中毒情報センターの調べによれば一酸化炭素中毒による死亡者数は毎年2000人前後に上るという。原因のひとつとしては、練炭での単独、集団自死などの増加や火災があるのだが、大きいのは住宅事情の変化だという。
「今の住宅環境は気密性が高くなっていることが大きい。特に今の時期に事故は集中している」(日本中毒情報センター)
冬は締め切ってしまうからだ。一酸化炭素はモノが燃える時に発生するが、酸素が足りない状況下では不完全燃焼を起こし多量に発生する。そして、ある濃度を超えると頭痛、筋肉痛、めまいなどを引き起こし、さらに重度になると、錯乱、意識消失、死に至る。多くの死者が出るのにはワケがある。それは毒性が高く、透明無臭かつ自覚症状が出にくいことによる。またそれが致死量まで気づかない「サイレントポイズン」を引き起こす。今川橋クリニックの仁藤仁院長によれば、
「空気中に0.04%の一酸化炭素濃度で初期の中毒症状が発生するが、頭痛やめまいなど風邪の初期症状によく似ており気づかないことが多い」とのことだ。
ところが、あっというまに空気中の一酸化炭素濃度は0.1%程度にまで高まる。そして一酸化炭素の濃度は徐々に増加し、空気中に0.15%まで増加すると、1時間程度で死に至るのだ。この現象、身近なところでも起こる可能性があり、特に石油ファンヒーターは一酸化炭素以上に窒素酸化物濃度が著しく上昇するといわれ、機器によっては短時間で呼吸器が弱い人などに悪影響を及ぼすレベルに達する商品もある。さらに設定温度を高くしたり、部屋の広さに対して最大暖房出力が過剰に大きなものを使用すると、総揮発性有機化合物の室内濃度も高くなる懸念があるので、できるだけ使わないほうがよいと東京都生活文化局では警告している。
ともかく冬の暖房には小まめな換気は絶対に欠かせないのだ。
(谷川渓)