文科省所管の地震調査研究推進本部が、九州の活断層28を分析した結果、今後30年の大地震発生確率がきわめて高いことが判明した。その規模はなんと最大M8を超える。折しも鹿児島の桜島が1月だけで100回も噴火。大地震の予兆を示す戦慄のデータが頻出しているのだ。
「今後30年、九州全域でM6・8以上の地震が発生する確率は30~42%」
地震調査研究推進本部の発表は衝撃的だった。
活断層研究の専門家である東洋大の渡辺満久教授に聞くと、
「活断層の長期評価で40%というのは非常に高い数値だと思う」
と、今回発表された確率が示す危険性を語った。
防災ジャーナリストの渡辺実氏は、
「3・11以降、日本中の活断層を再評価しようという機運が高まっている。あの巨大地震によって日本列島はゆがんでいる。こういう情報を発表したのは警鐘を鳴らす意味もあるのではないか」
と話すが、ともあれ、地震調査研究推進本部に話を聞いてみなければなるまい。
「今回、九州の28の断層帯を評価しました。地域によって活動には差があり、中部の大分、熊本、福岡南部が最も高くなります。その評価の方法ですが、過去にそれぞれの活断層で地震が発生した間隔と、直近の地震が発生した時期から、次に発生する確率を推定します。今回の長期評価では、個別の活断層の確率を出したうえで特定の地域のどこかで、M6・8を超える地震が、今後30年間に少なくとも1回発生する確率を割り出しました。算出の手法は地域内の活断層の数値を加算していくイメージに近いため、活断層が多いほど確率も高くなります」(本部の担当者)
とりわけ、巨大なのは福岡県の西山断層帯。これまで北部の長さ31キロだけを評価してきたが、南部を追加して110キロとし、予想地震規模をM7・9~8・2と引き上げた。
一方、熊本県の布田川断層帯と日奈久断層帯が連動した場合はM7・8~8・2と想定した。
活断層の活動周期は通常1000年から長いもので数万年とされる。誤差も1000年なら短いほう。したがって、ある活断層の評価を専門家に聞いても、「もうそろそろ起きても不思議はないが、ひょっとするとまだ500年先かもしれない」などと、一見非常に悠長な感じになってしまう。生き物にとっての時間と地質学的時間にものすごい隔たりがあるせいだが、油断は大敵なのだ。前出・調査研究推進本部の担当者も、
「九州には活断層が多い。住民の方には常に活断層を意識していただきたい」
と警鐘を鳴らす。