ファンに右手を引っ張られたことで右肩を痛めてキャンプを離脱した中日・松坂大輔が引退の危機に直面している。ファンの暴挙がダメ押しの原因だったとはいえ、キャンプ前から右肩に異常が発生していたというのだ。
中日の沖縄・北谷キャンプの打ち上げは寂しい光景だった。昨年復活した松坂大輔(38)見たさと、スーパールーキー・根尾昂(18)の加入で、初日から観客動員とグッズの売り上げは記録的だったが、すでに両者の姿がない最終日2月27日のスタンドはガラガラ。トータルでの観客動員数は昨年の6万5653人から5万7441人に落ち込んだ。
ファンに右腕を引っ張られて右肩に違和感を覚えた松坂だが、当初は大したことがないと思われていた。ところが改善されず、11日に「ノースロー調整」が発表され、17日からキャンプを離脱している。中日関係者は「それが痛かった」と観客激減の原因を口にするが、それに輪をかけるようなショッキングな情報が流れている。松坂の今季絶望と引退説だ。中日のチーム事情に詳しい球団関係者が言う。
「松坂の肩の状態は想像以上に思わしくありません。ファンに腕を引っ張られて痛めたことになっていますが、そうではないようなんです。『サンデーモーニング』(TBS系)でご意見番の張本勲さんが『もともと悪かったんじゃないか』と発言して物議を醸しましたが、その指摘どおりだと言われている。3月2日にネットピッチこそ再開したが、本格復帰には程遠い状態です」
松坂は沖縄の病院で検査を受けて「右肩の炎症」と診断された。セカンドオピニオンとなる関東のかかりつけの病院でも同様の診断を受け、「脱臼には至っていないが関節がズレたような状態」であることが明らかになっている。治療に専念するため沖縄キャンプに再合流せず名古屋でリハビリを続けているが、
「開幕は絶望でしょう。それどころか、今季絶望の危険性さえあります」(スポーツ紙デスク)
本来、松坂のキャンプ調整は投げ込み型だ。レッドソックス時代には球数を制限されて極秘で投げ込みを行っていたほど。15年に右肩を手術して以降のソフトバンク時代、宮崎キャンプで1日に200球近く投げ込んだこともある。その松坂がこのキャンプではまったくブルペンに入らなかったのだ。
もっとも、一度だけブルペンに入ったが、マウンドを使ってのシャドーピッチング。第3クールからブルペンに入るという見通しが語られたこともあるが、実は、投げたくても投げられない事情があったという。
松坂は米国永住権取得手続きのために2月5日に急きょ渡米したが、事前にはチームのごく一部の上層部にしか伝えられていなかった。そのため、「松坂が空港にいた」との情報がツイッターで流れた時、トレーナー陣が「ケガの治療か」と、パニック状態になったというのだ。
「球団スタッフらも“自分らの知らないところで治療に行ったんだ”と一時、大騒ぎになったそうです。それほど右肩の爆弾は不安視されていたのでしょう。故障持ちのプロ野球選手の体は繊細そのもの。実は松坂の右肩は再発していて、ちょっとした衝撃で負傷してしまうくらいガタガタだったようです」(球団関係者)
最終的にファンの暴挙が引き金となって爆発してしまったようだ。