フェブラリーSに続くGI第2弾・高松宮記念が今週のメインとして中京競馬場で行われる。そして、この高松宮記念を皮切りにGI戦が4週続く。桜の開花とともに本格的な競馬シーズンへの突入だ。
さて、今回の顔ぶれである。昨年の覇者で短距離王のファインニードル(1月に引退)の名がないのは残念だが、それでも、オーシャンSを好タイムで逃げ切った新顔モズスーパーフレアを筆頭として、ダノンスマッシュ、デアレガーロ、そしてアレスバローズ、セイウンコウセイ、レッツゴードンキなど多士済々。なかなかの豪華版だ。
絶対視できるほどの存在は見当たらないものの、短距離での力量確かな馬がそろって見応え満点。馬券的にもなかなかおもしろいGI戦と言ってよさそうだ。
その馬券的な傾向は、どうか。03年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、馬単での万馬券は4回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着5回)。1、2番人気馬のワンツーは3回あるが、おおむね中穴傾向のGI戦と言っていいか。
また、このレースが1200メートル戦に改められ、GIに昇格してからの過去23年間を振り返ってみてわかることは、充実著しい5歳馬が圧倒的に良績を残していることだ。4歳、6歳馬がこれに続くが、牝馬の善戦も目立っており、人気どころの牝馬勢からは、目を離せそうにない。
逃げる人気の4歳牝馬モズスーパーフレアを巡っての競馬になりそうだが、絡みそうな馬は少なくなく、どこまで自分のペースを守れるか。ただ、直線の長い中京コースだけに、予断を許さない。よどみなく流れ、息の入らない激しい攻防が繰り広げられる競馬が展開されるような気がしてならないからだ。
中京コースの特徴を考えれば、中団より前めの好位につけて競馬できる馬が有利に運べるのではないか。であれば、脚質自在で、しかも、しまいがしっかりしている馬に狙いを置くのが筋。期待したいのはそんな1頭、ロジクライである。
1200メートル戦は、今回が初めて。1400メートル戦も前走のGII阪急杯(3着)が初経験だった。それだけに簡単に飛びつけないのはわかる。
しかし、その阪急杯は見どころがあった。スタート直後に他馬と接触、位置取りが後ろになったのが最後まで響いたが、それでも直線、インからの伸び脚は鋭かった。勝ったスマートオーディンが強すぎた印象だったが、それでも短い距離に対応できたのは評価すべきだろう。
ハーツクライ産駒で、血統的には実績あるマイル戦がよさそうに思えるが、行きたがる面がある勝ち気な性格からして、1200メートルはかえっていいのではなかろうか。陣営にしても、そう判断したからこその挑戦なのだろう。
状態もすこぶるいい。ひと息入ったあとの今年3戦目。関係者の思惑どおり、この中間の良化ぶりは目をみはるものがある。稽古の動きは一段と鋭くなっており、1週前の追い切りも軽快でリズミカルだった。
「馬体に張りがあって、雰囲気が実にいい。ベストに近いのではないか」
須貝調教師がこう仕上がりのよさを強調し、目を細めるほどだ。
中京コースは一度しか走っていないが、休み明けだったGIII中京記念でいきなり僅差2着。相性は悪くない。ならばチャンスがあっていい。一族にディープインパクト、ウインクリューガー(NHKマイルC)がいる血統馬。大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、ティーハーフだ。9歳馬なのに衰えなく元気いっぱい。GIでもたびたび善戦してきた馬だ。休み明け3戦目でもあり、体調アップで一発も。