2月13日にIOCが2020年の夏季五輪からレスリングを除外候補としたことは競技者のみならず国民にも大きな衝撃を与えた。そこで本誌はアサ芸世代1000人に緊急アンケートを実施。「消えてもいい五輪競技」をあぶり出した。
84年ロサンゼルス五輪にレスリング日本代表として出場した自民党衆院議員・馳浩氏(51)は、除外騒動についてこう主張する。
「JOC(日本オリンピック委員会)に入った情報によると、今回の決定には39項目の評価があって、レスリングは評価が低かったといいます。危ないぞ、危ないぞと言われていたんですよ。それなのに、世界レスリング連盟は何ら手を打ってこなかった。五輪競技はスリリングでドラマ性があり、アグレッシブでわかりやすいことが必要です。試合をおもしろくするために何らかの改革が必要ですよ」
古代五輪の競技種目でもあったレスリング。「レッスル」が「動物がじゃれあう」という意味からもわかるように、最古の歴史を持つスポーツである。日本にとっては、ロンドン五輪までに金28個、銀17個、銅17個の計62個ものメダルをもたらしたお家芸とも言える競技だ。その排除に、本誌連載対談でもおなじみのテリー伊藤氏(63)は、2月14日放送の「スッキリ!」で、こうかみついたのだった。
「近代五種(競技)はやる必要ないでしょ!」
射撃、フェンシング、水泳、馬術、ランニングを一人で行う同競技。それぞれ単独種目が五輪にあることがその理由だというが、誰でも「レスリングよりもこの競技を除外しろよ!」の思いはあるはずだ。
そこで本誌は全国の40代以上のオヤジ1000人に緊急アンケートを実施し、「除外するべき五輪競技」をランキングした。対象となるのは16年にリオ五輪で行われる28競技。自転車競技のBMXとモトクロスは一つの選択肢にまとめ、有効回答数は実に100%となった。
圧倒的な得票数で1位に選ばれたのはテコンドーである。これまでも「落選候補」となりながら難を逃れてきたが、全国紙運動部記者はその理由をこう語る。
「IOC(国際オリンピック委員会)会長のジャック・ロゲ氏が18年冬季五輪の開催地である韓国の平昌を視察した時に、朴槿恵(パク・クネ)次期大統領(60)みずからテコンドーの魅力をアピールしました。残留に投票した14理事のうち3人が韓国で名誉博士号を持ち、財閥サムスンはIOCのスポンサーです。こうしたことが強く影響したことは間違いないでしょう」
元JOC企画専門委員で、五輪評論家の伊藤公氏は、今回の韓国の動きをこう解説する。
「会議に参加せずして、会議をある方向に持っていくことをロビー活動といいます。除外の対象だったテコンドーを通したのはロビー活動です。国際外交の場面でも明らかですが、朝鮮戦争で南北に分断してから、彼らはそのようなことをして国際社会で生き残ってきたのです。韓国はそこにたけており、日本より秀でているのです」
国家をあげての援護射撃がテコンドーを延命に導いたというのだ。