2月7日の衆院予算委員会には石破氏が、12日の同委員会には進次郎氏が、それぞれ党を代表して質問に立った。全国紙国会担当記者が指摘する。
「NHKのテレビ中継も入る予算委で、石破氏や進次郎氏から苦言を呈されはしまいか。そんな不安を抱いていたとされる大臣席の安倍総理と麻生氏は緊張の面持ちでした。実際には『数におごることなかれ』程度の注意喚起で済みましたが、委員会室には張り詰めた空気が漂っていましたね」
実は、安倍総理の側近偏重と独断専行については、伊吹文明衆院議長(75)からも「待った」をかけられている。通常国会が開幕した1月28日、伊吹氏が安倍総理を国会に呼びつけたのだ。
「いきさつは、伊吹さんが『法案の審議を頼む立場の総理が議長に何の挨拶もないのはどういうことか。俺が怒ってるって伝えろ』と不満をブチまけ、それを聞きつけた安倍さんが慌てて伊吹さんのもとを訪れたというもの。『国会や党を軽視する総理の姿勢に文句を言いたかった』というのが真相です」(伊吹氏周辺)
さらに、安倍総理への不満の火種は、閣内でも発火の兆しを見せつつある。火元はズバリ、アベノミクス推進の要職を務める甘利明経済再生相(63)。騒動には安倍総理の腹心たる菅義偉官房長官(64)も一枚かんでいるとか。甘利氏に近い官邸関係者が解説する。
「麻生氏は『私と菅さんと甘利さんがしっかりすれば安倍内閣は安泰』と豪語していました。ところが、蓋を開けてみれば、甘利氏はトライアングルから外されていた。実際、担当のアベノミクスに関わる案件ですら、甘利氏には結果のみ伝えられることが少なくない。そのため、甘利氏の周辺からは『甘利さんは小間使いじゃない!』との声が上がっているんです」
この官邸関係者によれば、石破氏が前述の円安懸念発言に及んだ前日の1月15日、甘利氏が閣議後の記者会見で「過度の円安は国民生活にマイナス」と発言したのも、安倍総理への不満があったからだという。この一件では菅氏が必死の火消しに奔走し、閣内不一致の芽はかろうじて摘まれたが、一触即発の危機は今も続いているのだ。
失政に失政を重ねた民主党政権を叩き潰し、ようやくにして誕生した安倍新政権である。
「官邸主導」は国民の大いに期待するところだが、それが身内から「お友達偏重」と見られたのでは、やはり歴史に残る大事は成し遂げられない。
時あたかも、北朝鮮が3度目の核実験を強行するなど、近隣諸国を巡る情勢は緊迫の度を増している。安倍総理には、党内や閣内に渦巻くわだかまりを一刻も早く解消して、この国の危機を果敢に突破してもらいたいのだが・・・・。