桜花賞に続くクラシック第2弾・皐月賞が今週のメイン。桜花賞がそうであったように、この皐月賞もフルゲート(18頭)による争いとみられている。
確かに好メンバーである。昨年度の2歳チャンプの座に就いたアドマイヤマーズ、リステッド競走を連勝中のヴェロックス、スプリングSを制したエメラルファイト、目下3連勝中のサトノルークス、デビューから3戦土つかずで、最有力候補と見られているサートゥルナーリア、これまた破竹の3連勝を飾っているダノンキングリー、そしてスプリングS2着のファンタジスト、弥生賞を制したメイショウテンゲンと多士済々。まずは見応え満点の激しいレースになること請け合いだ。
これだけ顔ぶれがそろうと、馬券的にもかなりおもしろい一戦とみていいだろう。そもそもこの皐月賞は、よく荒れるレースでもある。03年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単での万馬券は半数の8回(馬連5回)。この間、1、2番人気馬でのワンツー決着は3回あったものの、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬は、わずか1勝(2着4回)。ディープインパクト、オルフェーヴルのような“怪物”が出ているのならともかく、簡単に人気どおり決まらないレースなのだ。
実際、トライアルの弥生賞、もしくはスプリングSを制して皐月賞馬になったのは、過去16年で前記したディープインパクト、オルフェーヴルをはじめ7頭。前哨戦を勝ったからといって、無条件に飛びつけないことがわかる。桜花賞同様、何とも悩ましい競馬である。
本来なら前記したサートゥルナーリアを筆頭に、アドマイヤマーズ、ヴェロックス、サトノルークス、ダノンキングリーといった有力候補のいずれかから入るのが馬券の筋論ではあるが、有力勢の力量にそう大きな開きはなく、伏兵陣も多彩とあっては、難解だ。
人気、有力勢のいずれかから勝ち馬が生まれる公算は大きいと思われるが、それでも穴党としては、やはり人気薄の馬に目をつけてみたい。最も期待を寄せてみたいのは、タガノディアマンテだ。
未勝利を勝っただけの1勝馬。評価のほどは低い。が、前々走のきさらぎ賞で2着、前走のスプリングSが4着。いずれも人気を上回る好走で、勝ち馬とはコンマ3秒、コンマ2秒差と頑張っている。
しかも、きさらぎ賞は、大きく出遅れてのもの。メンバー中、最速の上がり脚での猛追だった。スプリングSは中間、少し楽をさせたことで仕上がり状態はイマイチ。初コースということで戸惑いもあり、ペースが上がった3コーナー過ぎで手綱が激しく動く場面もあった。それでも直線での末脚には光るものがあり、能力は、かなりのものであることは確かだ。中山コースを一度経験したことも大きい。
この中間は、すこぶる順調で、1週前の追い切りは実にリズミカルだった。
「体調に関しては申し分ない。ずいぶんと常識にかかってきた。相手はさらに強くなるが、そう大きな差はないと思っている」
鮫島調教師は、こう言って期待感をにじませる。
昨年の覇者エポカドーロを出した3冠馬オルフェーヴルを父に、ダービー馬キングカメハメハが母の父。近親、一族にトゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)、クリアマンデート(GI3勝)、クレームフレーシュ(GI7勝)など活躍馬がズラリといる血筋。晴雨にかかわらず“一発”があっていい。