先の弥生賞に続く皐月賞のトライアル(3着までに優先出走権)、スプリングSが今週の東のメインだ。
顔ぶれを見てみると、大きく抜けた馬はいない。本命サイドでの決着とみられた弥生賞は思わぬ波乱となったが、さて、ここはどんな結末を迎えるのか。簡単に人気どころに飛びつくわけにはいかないだろう。
いちおう朝日杯FS2着のクリノガウディー、同4着ファンタジスト、目下2連勝中のヒシイグアス、そして良血ロジャーバローズ(ジャパンCを連覇したジェンティルドンナが近親)が人気上位とみられるが、絶対視はできない。
近年、このレースを勝ってダービー馬に輝いたのは02年タニノギムレット、03年ネオユニヴァース、06年メイショウサムソン、11年オルフェーヴル(3冠馬)で、15年キタサンブラック(菊花賞)など、クラシックを制した馬は、弥生賞と同じく、少なくない。
それだけにファン必見のレースで、今年も‥‥とその期待は膨らむが、昨年まで8年連続で馬単、馬連での万馬券は出ていない。しかし今年の顔ぶれからして、一転する可能性は十分あるだろう。
とはいえ、03年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単での万馬券は3回のみ。無謀な穴狙いは避けるべきだ。
それにしても、前述の人気どころにヒケを取らない素質馬が多く、穴党としても目移りしてしまう。悩むところだが、最も期待してみたいのは、タガノディアマンテだ。
タガノトネール(GIII武蔵野S)、タガノエスプレッソ(GIIデイリー杯2歳S)の弟で、オルフェーヴルが父ということもあり、兄以上の期待が寄せられている逸材だ。
前走のきさらぎ賞は一息入ったあとで、やや余裕残しの仕上がり状態。そのためか、スタートで後手を踏んでしまい、それまでと違って後方から。それでもメンバー中、最速の上がり脚で、2着に食い込んでみせた。その強烈な末脚は父譲りのものだろうが、この戦法が使えたのは、どんな展開になるか読みづらいここでは、大きな武器になるだろう。
使われたことでこの中間は大きく良化し、乗り込み量も豊富で、1週前の追い切りは実にリズミカル。文句なしの動きだった。
「心身ともにたくましくなってきて、雰囲気がとてもいい」
こう言って、鮫島調教師は順調ぶりを強調するが、ならば期待していいのではないか。
均斉の取れた好馬体で、このへんからも素質のよさがうかがい知れるが、血統からも今後の活躍を大いに見込んでいい。
前述したように2頭のオープン馬を兄に持ち、近親、一族にはトゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)、ドリームディール(米GIモンマスオークス)など、多くの活躍馬がいる良血だからだ。
晴雨にかかわらず、混戦に断を下すのは、この馬だ。
馬券はタガノディアマンテを主力に手広く流したいが、穴中の穴として注目したいのは、アンクルテイオウだ。GIII共同通信杯2着のイモータルの弟だが、素質はこちらが上。未勝利を勝ち上がったばかりで、それもハナ差の辛勝、時計も平凡だった。が、軽く見てはいけない。
前走後は、ここを目標に短期放牧を挟み、入念に乗り込んできた。そのかいあって大幅な良化ぶりを見せており、1週前の追い切りは抜群だった。
近親にシロッコ(BCターフ、コロネーションCなどGI4勝)がいる血筋。あか抜けた好馬体、その血統から、大化けがあっても不思議はない。