青春のきらめく季節だけ着ることを、そして歌うことを許されるのが「セーラー服ソング」だ。80年代以降、世の男子たちを胸キュンさせた名作の数々を一気にパワープレイ!
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もし、制服ソングの「オールタイムベスト」を選考するなら、間違いなくトップを争うのが、薬師丸ひろ子が歌った「セーラー服と機関銃」(81年)だろう。同名の映画の主題歌としてチャート1位に輝くデビュー曲となった。アイドル評論家の織田祐二氏が振り返る。
「映画のラストで新宿の街中で子どもたちと撃ち合いのまねをして、この曲がかかった瞬間のゾクゾク感、インパクト、興奮‥‥圧倒されました」
実は映画の主題歌は、作曲者の来生たかおが歌うはずだった。ところが、相米慎二監督の「ひろ子に歌わせる」の一声で、歴史的な名曲が誕生したのだ。さらに、歌のタイトルは「夢の途中」だったが、これを映画と同じ「セーラー服と機関銃」に変えたのは、角川映画の角川春樹氏だった。
その効果を美少女研究家の高倉文紀氏が解説する。
「セーラー服をきちんと着こなせるのがアイドル、というコンセプトを確立しました。セーラー服なのに機関銃を持っているという異質の組み合わせにインパクトがありましたね」
そして薬師丸に続き、角川映画のヒロインとして絶大な人気を誇ったのが原田知世。やはり映画の主題歌だった「時をかける少女」(83年)は、ユーミンが手がけた。発声の基礎ができていた薬師丸に比べれば、つたない歌唱法だったが、それすらも“持ち味”となる。
「映画での彼女はセーラー服ではなくグレーのブレザー姿でしたが、当時としては画期的なデザイン。原作が持つ世界観とよく合っていましたね。その後も内田有紀や仲里依紗など、アイドル女優の登竜門的な作品になっています」(前出・高倉氏)
それにしても、この時代のユーミンは「セーラー服ソングの名手」として、多くの楽曲を世に送り出している。松田聖子の「制服」も呉田軽穂の名義で作っているし、石川ひとみがリメイクした「まちぶせ」も女子高生のリアルな心情があふれていた。