中央移籍前から「アンカツ2世」と称される戸崎。アンカツ=安藤勝己騎手は中央で1111勝(うちGI22勝)を記録。今期で引退となったが、地方から中央へ移籍したパイオニアであり、活躍ぶりは誰もが知るところ。そのアンカツの“2世”とまで言われるだけでも戸崎の逸材ぶりがわかるというものだが、常勝「社台軍団」と太いパイプを築いていることも強みだ。
「所属先の田島俊明師は、若手の中でも温厚で人脈の広さで知られます。また、東のリーディングトップで、社台軍団の有力馬を多数抱える堀宣行師とも信頼関係が厚い。今期は主戦ジョッキーとして活躍すると見られています」(前出・トラックマン)
堀厩舎とのコンビでは、昨年の福島で大暴れ。ファイナルフォームで「ラジオNIKKEI賞」のほか、勝ち星を量産している。
スポーツ紙記者が話す。
「いきなり100勝の大台もありえますね。GIトレーナーの一人は『技術はもちろん、若くて意欲的な好青年。ウチパクより勝てると思うし、声をかけることも多くなるんじゃないかな』と、早くも戸崎のスケジュールを気にしていました。すでに混戦クラシック戦線を戦うパートナーも続々と決まっていて、今週の弥生賞では、クラシック戦線でも有力候補のサトノネプチューンを堀先生が用意。移籍後いきなり重賞制覇もありえますし、春のGI戦線で戸崎旋風が巻き起こる可能性は十分です」
来週のフィリーズレビューでも、GI馬ローブティサージュを破ったことのあるサウンドリアーナ、NHKマイルCを狙うゴットフリートとは、4月のニュージーランドTからコンビを組む予定となっている。
戸崎といえば、デビュー3年目の大井時代、当時の日本最高配当975万馬券に絡んだことでも有名で、まさに今後は「台風の目」になりうるが、ファンとしては、いち早く特徴を知り、馬券作戦に結び付けたいところだ。本誌連載でもおなじみの伊吹雅也氏が“戸崎攻略法”をこう指摘する。
「堀厩舎とのコンビはダントツですが、上原厩舎では09年以降に限ると複勝率は61・1%まで上がりますし、加藤厩舎とは人気サイドよりも適度な人気薄のほうが馬券的な妙味があります。引き続き注目するとともに、中堅厩舎が主戦騎手として勝負をかけてくるケースを狙いたいです。
芝とダートでは、複勝率を見るとあまり差はありませんが、芝は1600メートル以上、ダートは1400メートル以下での勝率が高くなっています。また、地方はどの場でも優秀な成績を収めていますので、4月の福島で騎乗するようなら、ぜひチェックしておきたいですね」
若手にベテラン、地方出身、外国人ジョッキーと、まさに群雄割拠の様相を呈してきた中央競馬界。
「アンカツ2世」が中央に殴り込みをかけてきたことで、春競馬がますますおもしろくなることは間違いない。