5月8日に滋賀・大津市で発生した園児死傷事故で、事故の翌日から休園していた保育園が13日に再開。保護者からは保育士などの職員に対して温かい言葉が多数かけられたという。
その事故で話題になったのが、保育園の開いた記者会見で園長に向かって投げつけられた数々の「心ない質問」だ。憔悴しきった園長から事故前の園児たちの様子を無理やり聞き出したり、全国の保育園で日常的に行われているお散歩を危険な行為と言わんばかりに保育園側の管理責任を問う質問など、まるで謝罪会見といわんばかりの「ムゴい場面」には日本中から批判が殺到した。
ネット上では質問をした記者の所属と名前を特定する動きも少なくないが、その一方で現役のNHK局員による批判の声もあがっているという。
「現役慶大生のお笑い芸人からまさかのNHK入りを果たしたたかまつななは5月10日、《ご遺族の方への取材、記者会見も見たけど本当に意味わからん》とツイート。たかまつ本人も遺族取材の経験があると明かしたうえで、《メディアって凶器だし、歴史をみると戦争だって始められる。本当に味方しなきゃいけないのは誰か。力があるなら社会をいい方に変えたい》と自制を込めたツイートを連投していました。現役のNHK局員(ディレクター職)というインサイダーの立場で件の記者会見を“意味わからん”と断罪したのですから、相当重い意味を持つツイートだと言えるでしょう」(週刊誌記者)
たかまつ自身は〈誰が悪いとか犯人探しして社会の何が変わるのか〉ともツイートし、ネットで広がる記者の特定に反対する態度を表明。その点ではNHK局員らしい配慮も欠かさなかったと言えそうだが、現役局員として記者会見を批判するのは相当な勇気が必要だったのではないだろうか。
「フェイスブックなど仲間内だけに公開されているSNSでは、現役のテレビ局員や新聞記者からも今回の記者会見を批判する声は少なくありません。ただ、たかまつのように誰でも見られるツイッターで声をあげる例はやはり少数派。たかまつの場合はNHK局員であることを、自分の“お笑いジャーナリスト”という使命を達成するための手段として割り切っているからこそ、業界内での軋轢を恐れることなく発言できるのでしょう。どんな業界でも内部批判はタブーとなりがちですが、悪いことには悪いと声をあげるのがジャーナリズムのはず。何かと批判されがちなたかまつですが、今回のツイートに関しては、彼女の姿勢を見習うべきかもしれません」(前出・週刊誌記者)
ふたたび彼女が同じ内容のツイートをすることがないよう、メディア側の意識変革が求められているのかもしれない。
(金田麻有)