テリー その後も松竹の映画にたくさん出られていますが、やっぱり僕らの世代を驚かせたのは73年公開の‥‥。
由美 ああ、「同棲時代-今日子と次郎-」ですね。
テリー 昔、宮沢りえさんが写真集を出してすごい話題になりましたけれど、当時の由美さんも人気絶頂のアイドルだったから、まさに事件でしたよ。
由美 当時、上村一夫さんの原作劇画がものすごい人気で、「ベッドシーンなんかもあるけれど、これは由美さんにぜひ!」「ポスター写真は全裸で」というオファーがあったんです。
テリー さすがに即答は無理ですよね。
由美 1カ月ぐらい悩みました。ただ山根成之監督が「テーマは“愛のメルヘン”で、すごくきれいなシーンにしたいんだ」とおっしゃってくださいました。海外でも、ブリジット・バルドーさんやカトリーヌ・ドヌーブさんが、必然性のある作品ではベッドシーンやヌードシーンを演じていらしたので、そういうことを考えたらやってみてもいいんじゃないか、なんて考えて、思い切って挑戦したんです。
テリー 公開後は、これまたすごい反響でしたよね。背を向けてキリッとした表情でこちらを振り返った全裸ポーズのポスターは、目に焼きついて離れません。
由美 皆さんがどんどん剥がして持っていっちゃうから、街からポスターがなくなっちゃって(笑)。あと、意外に劇場に来たお客さんは女性が多かったんです。男性3割、女性7割ぐらいだったって聞きました。
テリー 由美さんのヌードは、女性の共感も得られることができたんですね。
由美 ええ。ですから「同棲時代」に出たことは非常によかったと思います。今思えばですけど、あの映画で私自身、少女から大人への変身がうまくできたのかなって。
テリー そういうことか。あの映画で脱いでいなければ、かわいいアイドルのまま終わってしまう可能性もあった。
由美 そういったいい出会いや作品に恵まれる節目があって、ここまでやってこれたんだと思います。
テリー そうですね、それがなければ「水戸黄門」の出演もなかったかもしれませんものね。毎回見せてくれる入浴シーンは、由美さんはもちろんのこと、作品の大きな売りになりましたから。
由美 うれしいですね。最初にレギュラーになったのが、西村晃さんが黄門様(86年放送の第16部)の時。私が演じた「かげろうお銀」は、最初は黄門様のお命を頂戴しようとしていた役でした。
テリー お銀の人気がすごくて、主演の外伝「かげろう忍法帖」まで作られましたからね。
由美 そうなんです。レギュラー出演者全員が交代した石坂浩二さんの黄門様の時も、「疾風のお娟」で出させていただきましたし、25年も続けさせていただいて。
テリー 入浴シーンで、特に印象に残っていることはありますか。
由美 岩風呂に入っている黄門様を狙うシーンがあったんですけど、その時のセットは地面に大きな穴を掘ってビニールシートを敷いて岩風呂を作ったんです。それでも撮影している途中からどんどんお湯が抜けていってしまったんですよ。
テリー ハハハハ、大変じゃないですか!
由美 少ないお湯に無理やりつかろうとしたせいで、みんな腰をズラした、ものすごく苦しい体勢になってしまって(笑)。あのハプニングは、すごく印象に残っています。