昨年はCS出場にあと一歩だった広島カープだが、各氏の予想は若干厳しかった。とはいえ、15年連続Bクラスという状況を打破すべく、カープOBのプロ野球評論家・小早川毅彦氏は、今季の躍進を断言する。
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「昨年は、マエケン(14勝7敗)が言うことなく、野村も9勝11敗と借金を2つ背負いましたが、防御率は優秀で内容も非常によかった。復活した大竹(11勝5敗)も一皮剥けました。戦力的には、巨人がダントツですが、投手陣に関しては、ひけを取りませんよ」
3人の防御率はリーグ順位で順に、前田が1位、野村が2位で、大竹も6位だった。巨人が誇る3本柱、内海(同3位)、杉内(同4位)、ホールトン(同9位)と、遜色ないばかりか防御率では上回る陣容なのだ。
一方、泣きどころは貧打線だが、それでも12年のチーム本塁打はリーグ3位、二塁打数は2位だ。おまけに盗塁数も2位と、実は長打力もスピードも備わっている。
打線の核は、昨年6月に来日し、65試合で11本塁打を放ったエルドレッド。144試合出場換算なら24本塁打でリーグ3位に躍り出る。小早川氏によると、彼は経験を積んで成績を上げるタイプとのこと。2割6分台の打率を数分上げてくれれば、得点力も一気に上がるだろう。新加入のルイスはメジャー通算53盗塁と、中距離タイプの快速男。さらには栗原、堂林のKD砲もいて、厚みを感じさせる。
「あと、昨年注目された岩本も忘れないでください。彼はノーマークで活躍するタイプ。大仕事のできる選手です」
今季は打撃コーチに新井宏昌氏が就任。カープには珍しい外部の血であり、現役時代は2038本のヒットを放った安打製造機が、自分と同じタイプの打者を育成する以上、フレッシュな切り込み隊長が見られるはずだ。
そして、代打の切り札は前田智徳。昨年5年ぶりに打率3割と復活した。小早川氏は「前田に何も言うことはありません。そっとしておいてあげましょう(笑)」と、ほほえむ。
東出が離脱し、チームリーダーの不在は泣きどころだとも言われるが、小早川氏は、「廣瀬も石原もおり、心配ないですよ」と強気だ。
では、カープが上位に食い込む鍵はといえば、
「毎年苦しむ交流戦を5割で乗り切ること」
と語る。過去8年の交流戦順位は11、9、12、6、3、10、12、6位。通算85勝121敗と、夏前に調子を落とすのが恒例だが、ここをふんばれば光明も見えてくる。
「昨年の観客動員数は12球団中6位でしたが、これはホームゲーム限定の数字です。ビジターを含めた“潜在的なファン”は、巨人や阪神に勝るとも劣りません。カープが決してゲームを捨てないのも、ファンのため、常に全力を尽くすからです」
大敗しても、翌日に1対0で勝てばいい。23年ぶりの優勝を、そんな野球で勝ち取れ!