実は、ドジャースとの契約が切れた11年のオフにも、黒田が古巣帰還に傾いたことがあった。もちろん、野村政権時代だ。
「球団は野村監督も交渉に同席させるため、渡米させたんです。監督が頭を下げて黒田に誠意を示したといいます。黒田もこのオファーをムゲに突っぱねはしませんでしたが、結局、ヤンキースと単年15億円以上で契約した。親しいカープOBにはやはり、野村監督がいるから断ったと黒田がこぼしていたそうです」(球界関係者)
安仁屋氏は言う。
「マエトモにしても謙二郎にしても、一流プレーヤーは自分のプレーに自信を持っているからこそ、みんな個性が強い。折り合いが合う、合わないというのはあるでしょうけど、周りが言うだけで本人らは意識してないと思いますけどね」
いまだトラウマになっていた前監督は去り、今季からは緒方孝市新監督(46)が指揮を執る。満を持して黒田が8年ぶりに戻り、いよいよ広島は24年ぶりの悲願達成へ向け、優勝を目指す体制が整った。黒田も気合いが入っている。
「ドジャースに移籍して以来、娘さんたちがロスでの生活環境を気に入って、ヤンキースに移籍してからも黒田は単身赴任でニューヨーク入りしました。『娘は完全に外国人だよ』と話していましたが、英語もペラペラで、このままロスに残るようです。日本となればさらに家族と遠く離れてしまうわけですが、それでも黒田の男気は広島を優勝させたい一心でしょう。だからこそ、巨額マネーではなく広島を選んだ」(スポーツライター)
はたして今年こそ鯉が球界の頂点に上り詰めるか。
「メジャーで5年連続2桁勝利をあげてきた実績のあるピッチャーでもシーズンに入って最初の1勝、2勝で両目を開けるまでは不安があります。ただし、そこを越えればプレッシャーにも強い選手ですからね。ファンの期待値は高いでしょうが、10勝してくれれば申し分ない。あくまでエースはマエケンですよ。一昨年、昨年と3位で若い選手も自信をつけてきてますから十分優勝を狙えるでしょう」(安仁屋氏)
伸び伸びと投げられる環境で、バリバリのメジャーリーガーとして帰国する黒田に旋風を巻き起こしてほしいものだ。