阪神が緊急獲得した新外国人選手、ヤンハービス・ソラーテ内野手が「日本の対戦投手を研究したい」と言って、映像やデータ資料の提供を求めてきたという。マジメで研究熱心な「助っ人」の加入は頼もしい限り。しかし、阪神は「もう一つの外国人問題」を抱えていた。
「近年、甲子園球場のスタンドには外国人観光客のグループも見受けられます」(在阪記者)
日本のプロ野球観戦を楽しむ外国人観光客の姿は、他球場でも目撃されている。メジャーリーグの取材に当たっている米国人ライターによれば、日本のプロ野球への好奇心によるものだという。
「外野スタンドのファンが、知らない者同士なのに、同じ応援歌を歌ったり、声をそろえてエールや手拍子を送る応援はメジャーリーグでは見られません。日本人メジャーリーガーの存在も当たり前のように定着し、日本の野球についても、次に米挑戦してきそうな日本人選手の紹介記事によって知られるようになりました」
甲子園球場は高校野球の聖地でもあり、伝統のあるスタジアムとして、コアな米野球ファンが「行ってみたい」と思うようになったのだという。もっとも、アメリカの野球ファンは「連投」「投げすぎ」という批判から、日本の学生野球にも関心を持ったそうだが、「阪神ファンは特に熱い」と知り、タイガース戦を観光コースに入れているのだそうだ。
しかし、日本のプロ野球が観光コースに加わったことで、対応が難しくなった点もあるという。
「雨天中止となった場合、その払い戻し方法で外国人観光客と行き違いが生じることもあるそうだ。『帰国してしまうので、どうしたらいいのか?』などの問い合わせがされますと、うまく対応できない時もあります」(関係者)
今後、夏の甲子園大会においても、外国人観光客への対応が迫られるかもしれない。もっとも、IT関連企業の多いパ・リーグがスムーズな対応をやっているとの話は聞かれなかったが、伝統のある球場を本拠地とするタイガースは海外からの関心も高いだけに、一刻も早い対応をしなければならない。近年は外国人選手の不振に泣かされてきた阪神。もうひとつの外国人助っ人問題も完全には解消されていないようだ。
(スポーツライター・飯山満)