巨人・原辰徳監督の引き立て役はゴメンというわけか。歴史的な敗者になる可能性も高いだけに、広島・緒方孝市監督、ヤクルト・小川淳司監督、阪神・矢野燿大監督の「抵抗」にもすさまじいものが見られた。
巨人が阪神に快勝し、原監督が監督通算で999勝目を果たしたのはさる7月28日。
「一時は巨人フロントの予想より早く1000勝に到達しそうだったので、敵地でのメモリアルになるのではないかと懸念されていました。1000勝は『連盟表彰』なので、広島、ヤクルト、阪神のスタッフもセレモニーには協力すると言っていましたが、内心は違ってたでしょうね。連盟表彰とは、選手対象のものだと2000本安打、200勝に代表される大きな記録を達成した対象者に表彰されてきましたが、監督として1000勝に到達した監督も今季から連盟表彰の対象に格上げされたんです」(ベテラン記者)
3度目の指揮官就任となった原監督にその可能性があったから検討されたようだが、過去、1000勝に到達した監督は12人。12年の星野仙一氏以来、出ていない。過去には、鶴岡一人氏、三原脩氏、川上哲治氏、そして長嶋茂雄氏、王貞治氏、野村克也氏らが1000勝を達成したが、名将の誉れ高い古馬竹織氏や森祇晶氏でさえ到達できなかった。つまり、1000勝に到達するには「長期政権」が必須条件となる。
「3連覇を果たした広島・緒方監督でさえ、長期政権は難しいと見られています。カープのレジェンド、山本浩二氏は2回監督に就きましたが、5年ずつです」(球界関係者)
この先、原監督のように3度の指揮官就任がかなう野球人は出そうにない。1000勝は、プロ野球の歴史となる。その引き立て役はゴメンとばかりに、1000勝に迫ったタイミングで巨人と対戦した広島、ヤクルト、阪神は抵抗したわけだが、日程とは皮肉なもので、本拠地・マツタスタジアムでの記録達成こそ阻止したものの、緒方監督は999勝の原監督と7月31日、東京ドームで対戦。9連勝中だったが敗れ、原監督の記録達成の引き立て役になってしまった。
「緒方監督はマツダスタジアム(19~21日)での巨人3連戦で1000勝を阻止した時点で、自分は引き立て役にならずに済んだと思っていたはず。その屈辱は相当のものでしょう」(スポーツ紙記者)
31日、1日と巨人に連勝して4ゲーム差に迫った意地の広島とメモリアル達成し、5年ぶりの優勝をめざす巨人との攻防からますます目が離せない。
(スポーツライター・飯山満)