一方、上層部を激怒させたもう一人の「狂犬」加藤は、一度は「会社を辞める」とまで言い切ったものの、大崎会長との直接会談を経て、
「僕がこういうことを発言したことで事が大きくなっていることは、本当におわびと謝罪をしたいと思っている」(7月26日「スッキリ」)
と、表面上はトーンダウン。うがった見方をした視聴者やネットユーザーからは「圧力に屈した」とヤユする声も上がっている。
しかし、スポーツ紙芸能デスクは「戦い方を変えただけ」と指摘する。
「確かに加藤本人も相方の山本圭壱(51)のラジオ番組で『あの時は熱くなっていた部分もある』と感情的になっていたことを認めており、『加藤の乱』は鎮静化したかに見えなくもないが、実際には矛を収めていません。実は日テレや番組宛てに『番組を私物化するな!』というクレームを上回る『よくぞ言った!』という称賛の声が続々と届いていて、捨て身の姿勢が民意を得たことをよく承知しているのです」
加藤は8月2日放送の「スッキリ」でも、大崎会長との2回目の会談が実現していないことに触れ、自身の要求と会社の回答が「平行線のまま」であると発言。騒動のキーマンの一人である松本人志(55)とは、
「電話させていただいて話させていただいています」
と連絡を取り合っていることも明言した。
松本と加藤の「直電」については松本も、自身がMCを務める「ワイドナショー」(フジテレビ系)で言及したが、加藤に近しい業界関係者によれば、その内容はまさに「爆弾要求」とも呼べる激しいものだったという。
「やり取りの中で、加藤が『松本さん、大崎会長を絶対に辞めさせてください。そのうえで、松本さんが一緒に辞める、というのはナシにしてください』と伝えたのです。これは、松本が『僕のアニキだから、大崎さんがいなくなったら僕も辞める』とまで慕う大崎を裏切ってくれ、と言ったに等しい。想像以上に踏み込んだ発言です」(吉本関係者)
今回の騒動で急激に距離が縮まった松本と加藤だが、これまでは吉本内での「主流派」と「非主流派」にそれぞれ属し、仲たがいとまでは言わずとも、交流が薄いことはよく知られた事実だった。
「松本も本音の部分では、ファミリーである大崎会長を排除しようとする加藤が気に入らないはず。それでも、即座に要求をハネつけることができないのは、大崎会長だけを守って騒動を一方的に終結させたら、自身のイメージにも傷がつくことを理解しているからでしょう」(吉本関係者)
確かに宮迫らの謝罪会見後すぐに松本が動いたことで、くだんの岡本社長の会見が実現している。しかし、松本が言うところの「0点の会見」が、松本自身を含む「主流派」をさらに窮地に追い込んでしまったこともまた事実だろう。
現体制を押し通そうとすることは、会社をここまで大きくした大崎一派の功績や、仮に経営陣を総入れ替えした場合の実務面での不安などを考慮しても、世間の感情論に照らせば、かなりの無理筋であることは明白だ。
「だからこそ松本は『芸人ファースト』というあいまいだけど耳触りのいいスローガンを掲げ、時間をかけて改革派と保守派の落としどころを探ろうとしているのです。そういう姿勢を取っていれば、さすがに加藤も松本を完全に無視して事を進めるわけにはいかないし、心情的に加藤にくみしている後輩芸人たちも声を上げにくくなりますから」(メディア関係者)
さながら主導権を巡り綱引きするような緊張関係の両者だが、そこへさらに吉本の内部分裂を加速させる「第三勢力」が加わり、話をややこしくしているというのだ。