「反社」と関わった芸人が悪いのか、パワハラ体質の会社に原因があるのか。ともあれ、この夏の芸能界を震撼させた一連の騒動は「巨大芸人組織・吉本興業の内部分裂危機」という新段階に移行したと言える。カギを握る大物たちの、テレビやメディアに出てこない「裏交渉」から新事実が明らかになった!
「タレント、社員を含め、吉本興業は全員がファミリー、家族だと考えている」
「(『全員クビにする』発言は)冗談と言いますか、和ませると言いますか‥‥」
吉本興業の岡本昭彦社長(52)がしどろもどろになりながら5時間半もの長丁場会見を終えたのが、7月22日のことだった。
この日は宮迫博之(49)と田村亮(47)の「涙の会見」を受けて、「スッキリ」(日本テレビ系)でMCの加藤浩次(50)が公然と岡本社長、大崎洋会長(66)へ退陣を迫ったことで、吉本にとっては「最も長い騒動」の幕開けとなった1日であった。
しかし、当の会見で岡本社長に鋭い質問を飛ばした芸能レポーターの石川敏男氏はこう話す。
「大崎会長は会見後、『あれでよかった』と言っているそうです。加藤の発言でもって自分たち経営陣が辞めることはない、という意思を示せた、ということでしょう。現在の大崎─岡本体制は今後も変わらないと思います」
さらには吉本興業に近いメディア関係者からも、同様の証言が飛び出した。
「記者たちの質問にまともに回答せず、自己弁護に終始した印象の岡本社長は各方面からボロカスに叩かれていますが、実は会見中、退席して会見場の裏手に控えていた大崎会長の指示を受けていたそうです。だから“模範解答”の指示を受けていない質問に対して『あ~、う~』と答えがよどみ、要領を得ない受け答えになってしまったというんですよ。巷間ささやかれるように、まさに『大崎会長の犬』だったわけです。岡本社長だけを切って、世間を納得させる『トカゲのシッポ』にするのでは、という声もありますが、矢面に立って一人でバッシングをこうむっただけに、辞めさせるわけにはいかないと思いますよ」
前時代的な社風に改善が見られないことは、会見後の岡本社長の行動がはしなくも証明している。メディア関係者が続ける。
「会見に前後してテレビやSNSで会社に批判的な意見を述べた芸人は中堅、若手を問わずたくさんいますが、彼らを個別で密室に呼びつけ『わかってるやろ~な!!』と1対1で詰めているそうです。『圧力をかけたつもりはまったくない』なんて会見で言っていましたが、その舌の根も乾かないうちに‥‥と、みんなアゼンとしています」
「芸人ファースト」の約束は口先だけだったのか。
怒りの矛先は、当然ながら反旗をひるがえした「首謀者」に強く向けられているようで、
「大崎会長と岡本社長は騒動の火を付け油を注いだ二人、すなわち宮迫と加藤のことを『絶対に許さん』と断じているそうです。社員や所属芸人に取材メディアとの安易な接触を禁じるよう伝える一方で、ツーカーの関係にある御用聞きの記者には『会社に多少批判的な流れになってもいいから、宮迫と加藤をツブす気で記事を書いてくれ』と頼み込んでいるとか」(メディア関係者)
宮迫の処遇を巡って吉本は、7月26日付で自社サイトに「ギャラ飲み報道」における宮迫の証言と一部メディアの報道内容の食い違いに触れた、次のような「矛盾コメント」を発表した。
〈弊社としてもどちらを信じていいのか、困惑しております。弊社としましては、宮迫氏の主張を疑うことなく信じておりますが、万が一にも、一部報道が事実であれば(中略)マネジメント契約解消の撤回についても、再度検討せざるを得ない状況です〉
今後、宮迫追放を前提としたマッチポンプのメディア操作が起きる。そんな不穏な予測も一笑に付すことができない状況なのである。