ローカル夏の陣は余すところ2週。いよいよ終盤を迎えた新潟競馬の今週のメインはGIII新潟2歳Sだ。
デビューしたばかりの若駒同士の一戦で難解ではあるが、ここ何年かを見てみると来春のクラシックをにぎわす活躍馬も出てきており、年々注目度は増してきている。今年もなかなかの素質馬ぞろいだ。
牡馬では、馬群を割って鋭く抜け出す大人びた勝ち方で新馬戦をモノにしたシコウ、未勝利戦勝ちのセツメンノトビウオ、タイムマシン。牝馬はウーマンズハート、クリアサウンド、ビッククインバイオ、そして新馬戦を強烈な末脚で他馬を一蹴したモーベットなど、まさに粒ぞろい。
特にモーベットは、当方としても高い評価を与えており、このまま順調にいけばクラシック級(桜花賞、オークス)の逸材とニラんでいるほどだ。
厩舎サイドでは当初、秋の東京戦を次走に据えるプランでいたが、前倒しで使ってくるのであれば、いくら穴党としても軽く見るわけにはいかない。
いずれにしてもファン必見の見応えある競馬になること請け合いだ。
デビュー間もないこの時期、牡馬、牝馬の間に地力の差はない。同じ斤量(54キロ)での出走となり、性差はないと判断してよい。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、牡馬が11勝(2着10回)、牝馬は6勝(2着7回)。牡馬がやや優勢のように見えるが、出走頭数の差で、13年の勝ち馬ハープスター(桜花賞勝ち、オークス2着惜敗)のような女傑が潜んでいるかもしれず、気にする必要はないだろう。
判断材料が少ないこともあり難解な一戦と前述したが、過去17年で馬単での万馬券は7回(馬連5回)。1番人気馬が8勝(2着2回)、2番人気馬はわずか1勝(2着3回)と、データからも一筋縄では収まらないことは確かだ。
さて今回である。ハイレベルの争いとみたが、そうであれば、簡単に人気どおりには決まるまい。
前記したモーベットを本命にしてもいいが、穴党としては許されない。当初の予定を前倒しで使ってくるわけで、完璧に調整されているかどうか。脚を余して負ける──そんなシーンを見る可能性だってある。
というわけで、穴党としてイチ推ししたいのは、ウインカーネリアンだ。
未勝利を勝ち上がったばかり。それも2着馬の追撃を半馬身しのいだもので、見た目に強い印象はない。が、バランスが取れ、アカ抜けた好馬体で実に雰囲気がある。
前走時、手綱を取った三浦騎手も「素直で乗りやすい馬。まだまだ良化の余地は十分。体がしっかりすれば、かなり楽しみ」と、将来性をほのめかしていた。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。ハナからここを目標に据え、しっかりと乗り込んできた。1週前の追い切りも軽快そのものだ。
「ひと息入ったが、力を出せる状態にある。成長も感じられるし、このぶんなら‥‥」
と、鹿戸雄調教師は仕上がりのよさを強調したうえで期待感をにじませる。ならば強敵相手のここでも一発があって不思議はない。
近親にオペラハウス(キングジョージなどGI3勝=テイエムオペラオーの父)がいる血筋。道悪の不安もなく、晴雨にかかわらず期待したい。
穴中の穴は同じ厩舎のグライユルだ。
陣営の評価はイマイチだが、こちらも勝負根性を感じさせる馬。サンデーサイレンスの4×3の近親配合馬(奇跡の血量)でもあり、軽視は禁物だ。