産経賞オールカマーが今週のメイン。一昔前はハンデ戦で行われ、時折、アラブ馬(以前はアラブでの競走が行われていた)が花を添え、サラブレッドの足をすくうことが見られた秋の名物重賞だった。
それが別定戦となり、その名残が消えてしまった反面、毎日王冠と肩を並べる天皇賞・秋の前哨戦(1着馬に優先出走権)と位置づけられ、一線級が集う注目すべき重賞となった。
今年も顔ぶれはいい。勝ってはいないまでも、GIで善戦した馬が多く出走を予定しており、激しくも見応えある一戦となることは間違いなさそうだ。
アルバート、ステファノス、ディサイファ、デニムアンドルビー、そしてルージュバックが有力候補としてあげられるが、本番を控えて、さて、どんな競馬を見せてくれるか。まさに目が離せない戦いだ。
別定戦であり、各馬の背負う斤量にわずかな差しかないだけに、大きく荒れることは少ない。馬単が導入されたのが02年。それ以降、これまでの15年間、馬単で万馬券が出たのは3回(馬連0回)のみ。この間、1番人気馬は5勝(2着3回)、2番人気馬は3勝(2着3回)。人気馬は絶対でないものの、やみくもな穴狙いは避けるべきである。
ただしこの間、1、2番人気馬のワンツーは一度としてなく、有力どころを主軸に人気薄へ流す、というのがうまみのある馬券になるということだろう。
ただ、有力どころは休み明けの馬が少なくない。先に本番が控えているのなら、ここは余裕残しの仕上げと見るべきで、そうであれば、実績では見劣るものの、夏場、一度でも使ってきた馬に狙いを置くのが筋ということになるのではないか。期待を寄せたいのはそんな1頭、ブラックバゴである。
準オープン(1600万条件)を勝ち上がったばかり。このメンバーに入ると見劣りすることは否めないが、その前走、五稜郭Sの内容は強いの一語だった。
1番人気馬がマイペースに持ち込んで逃げ切りをもくろんだのに対し、出遅れながら直線外から差し切ったもの。モノの違いを見せつけたレースだった。
「やっと本来の姿に戻ってきた。上を目指せる馬。これからが楽しみ」
こう、うれしそうに語るのは斎藤誠調教師だが、前走後はここを目標に短期放牧を挟んで丹念に乗り込んできた。そのかいあって、さらに良化気配にある。中間の稽古の動きが実に滑らかでリズミカルなのだ。
もともとクラシックでも、と期待された素質馬でGIIホープフルS3着、GIII京成杯2着の好成績を残している。しかし、脚部不安や気管支の疾病などがあって、これまで出世を阻まれていた。その不安がすっかり去って順調に使われるようになったのであれば、これからの巻き返しを期待していいのではないか。
父バゴは凱旋門賞などGI5勝の欧州チャンプで、母系はこれまた欧州の一流血脈。オクテの血統であれば、確かに今後の活躍を見込んでいいことになる。良馬場条件に、狙い撃ちといきたい。
神戸新聞杯は、ダービー馬レイデオロが出走してくる。ここ目標に予定どおりの調整を消化、順調そのものだ。であればこの馬から、と言いたいところだが、クラシック戦線で差のない競馬を繰り返してきた骨っぽいところが相手。簡単には決まらないと見た。
狙ってみたいのは、ベストアプローチだ。同じくダービー以来の実戦だが、しっかり調整され、臨戦態勢は万全。父は英ダービー馬で欧州チャンプ。母系もGI血脈とあっては菊花賞でもおもしろい馬。鉄砲駆けが利くタイプで、秋初戦から期待できる。