今週はサラブレッドの女王を決めるGIエリザベス女王杯がメイン。最強牝馬の座に就くのは、いずれか。興味が尽きない一戦で、牡馬顔負けの激しい競馬が毎年のように繰り広げられている。
3歳馬は秋華賞から1カ月後となり、その上位争いを演じた馬が挑戦してくる。その3歳馬は、秋華賞よりも1キロ軽い54キロで出走できるが、地力に勝る4歳以上の古牝馬は56キロ。この2キロの斤量差は当然としても、これから先、急激に地力強化される3歳馬には、ことのほか有利に働くようで、出走頭数が少ないながらも、充実期を迎える4歳馬と互角、あるいは、それ以上の活躍を見せている。
馬単導入後のこれまでの15年間で見ても、3歳馬は4歳馬と同じ6勝(2着5回)の好成績を残している。このデータからもわかるとおり、3歳馬から断じて目が離せないレースということになる。
ただ、こうした斤量を背負っての戦いだけに、文字どおりの力勝負。大きく荒れることは少ない。過去15年間、馬単での万馬券は3回のみ。1、2番人気がそろって連対を外したのも、わずか2回だ。これらの傾向を頭に入れたうえで馬券作戦に入ろうか。
浮かび上がるのは、モズカッチャンだ。活躍が目立つ3歳馬であり、オークス2着と実績十分。加えてこの秋、3戦目で、この中間、大幅な良化ぶりをうかがわせているのだ。
重かった馬体が締まって稽古の動きに、この馬らしい柔らかさが戻ってきている。1週前の坂路での追い切りも軽快かつリズミカル。鮫島調教師も状態のよさに言葉がはずむ。
「前走(秋華賞3着)は初めての道悪も応えたかな。それでも、そう差はなかった。馬体が締まっていい雰囲気。前2走とは明らかに違います。強い古馬が相手で楽な競馬は望めないが、それでも楽しみです」
こうヤル気をにじますのだから、狙わない手はあるまい。
力量確かなのに毎度評価が低いところが穴党としては魅力だが、今回も引き続きミルコ・デムーロ騎手とのコンビ。この名手も手応えを感じていればこそなのだろう。
海外GI(ドバイターフ)を制したヴィブロス、昨年の覇者クイーンズリングは、秋初戦の前哨戦・府中牝馬Sで2着、4着と善戦して健在ぶりを見せつけたが、その前哨戦を勝ったクロコスミア、秋華賞を制したディアドラ、さらにはルージュバック、スマートレイアー、ミッキークイーンという古馬の強豪が控えており、人気は恐らくこれらより低いのではないか。
であれば、まさに好都合である。
また、血統もいい。ごく近親に名牝ゴールドティアラ(GI南部杯)、ポエッツヴォイス(英GIクイーンエリザベス2世S)がおり、牝系そのものも北米屈指の名血。頂点に立っていい馬で、良馬場なら頭から狙い撃ちといきたい。
連下は前述した有力どころということになるが、穴中の穴として推したいのはクインズミラーグロだ。
前走の府中牝馬Sは12着に敗れたが、馬場が悪く、また、休み明けで状態もイマイチだった。
しかし、一度使われたことでこの中間、大幅な良化ぶりを見せている。
和田道調教師も「ガス抜きができて雰囲気が実によくなった。持てる力を出し切れる状態。楽しみ」と期待感をにじます。
ジャパンCなどGI3勝のゼンノロブロイが近親にいる良血。実績的にそう差はなく、軽視は禁物だ。