連日の猛暑で、汗かきの人にはつらい季節。
そもそも汗は体温を下げるために出ることで調整している。運動習慣があるなど、汗をかき慣れている人は汗腺機能が高く、サラサラの汗でニオイもしない。
しかし、ふだん汗をかき慣れていない人の場合は、オフィスの冷房などで、血中のニオイ分子も汗と一緒に体内から出てしまい、臭い汗になる。そこで日頃から汗をかきやすくするよう汗腺機能を高めることが重要となる。
ところが人によっては、大量の汗が日常生活に支障を来すほどになれば要注意。それは「多汗症」かもしれないからだ。
「多汗症」は「特に暑い日ではない」「激しい運動をしていない」「緊張しているわけではない」環境下で大量に汗をかくのが特徴。全身に汗をかく「全身性多汗症」と、手のひらや足の裏、ワキなどの体の一部に汗をかく「局所性多汗症」がある。
どちらも原因が特にない体質的なものが多く、「局所性多汗症」の場合は精神的な理由の症例も多い。また「全身性多汗症」には、感染症や内分泌疾患、悪性リンパ腫など別の病気が原因の可能性もある。
治療法には、内服薬、多汗症の部位を水道水に浸し、そこに電流を流して発汗を抑制する「イオントフォレーシス療法」や、ボトックス(ボツリヌス菌)注射をする方法、塩化アルミニウムが配合された塗り薬などがある。ただし、ボトックス注射が保険適用になるのは重度の原発性腋窩(えきか)多汗症で、単にワキ汗が多いだけでは適用外だ。
手に汗をかいて握手ができない、ワキ汗が止まらず人前に出られないなど、さまざまなシーンで困ることが多い多汗症。決して珍しい病気ではないので、恥ずかしがらずに皮膚科や内科などを受診してほしい。早めの治療が大切だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。