木村沙織に「野生の目」が蘇った瞬間ともなった。
東京パラリンピックの競技を紹介するイベントに、元バレーボール日本代表メンバーの木村沙織が招かれた。名目は「東京2020大会協賛くじの発売記念イベント」だが、パラリンピックの競技観戦チケットの売上げは、五輪に比べ、ちょっと伸び悩んでいる。関連企業はパラリンピックも盛り上げようと、さまざまなイベントを繰り広げている。
このイベントで紹介された競技は、シッティングバレーボール。木村は代表入りした選手といっしょに同競技に挑戦したのだが、そこでアクシデントが見られた。
「その名の通り、座ったまま行うバレーボールなんですが、ヒップを俊敏に動かさなければなりません。木村はほとんど反応できませんでした」(女性誌記者)
バレーボールの日本代表、それも主将も務めたとあっては、このままでは引き下がれない。木村の目は徐々に“本気モード”となり、必死な表情を見せ始めた。デモンストレーション後、木村はマイクを向けられた。
「久しぶりに運動をしたのでいろいろなところから汗が出ています。座ったままでの移動はなかなか(ボールの)距離が出ず、難しかった」
座ったまま、ヒップの力で左右に動き、上半身でボールに対応する。この競技のトップ選手の中に混じっていたので「難しかった」の言葉は本心から出たものだろう。
「ラリーが続くと、木村は息が続きませんでした。運動不足というよりも、この競技が生み出す独特のスピード感やタイミングに翻弄されている印象を受けました」(前出・女性誌記者)
この競技は健常者と一緒にプレーできるのも特徴だ。木村は自身を狙って決められたスパイクがよほど悔しかったのか、下唇をかむ場面もあった。
「バレーボールで遅れを取ったことが許せなかったのでしょう。木村はシッティングバレーの競技説明に身を乗り出すようにして、聞いていました。リベンジを考えているのでは」(スポーツ紙記者)
木村は“バスト自慢”で知られていた。今度はヒップを鍛え直さなければリベンジは果たせない。司会役から「健常者といっしょにできる数少ない競技の一つ」と教えられた後、木村の表情が変わった。「早すぎて、見えなかった!」と“敗北”を認めたが、その時の木村の目には現役時代と同じ野生の輝きが…。木村がシッティングバレーで復活なんてこともあるのでは!?
(スポーツライター・飯山満)