30歳差、といっても今どき、「年の差婚」など珍しくもないご時世だが、その2人が大学のセンセイと風俗嬢の夫婦となれば、かなりワケありなカップルの様相を呈してくる。そして新婚前夜に2人が実行したとして逮捕された共同作業は「殺人」。世にも奇妙な京都男性刺殺事件までの修羅に迫った──。
「朝の9時前頃だったか、団地の横に黒塗りの車が横付けになってな。ちょうど隣の棟だからよく見えるんやけど、ごつい男の人が出てきて、あの娘が捕まって部屋から連れて行かれたんよ。でも、おとなしい子やったし、風俗で働いていたなんて知らんかったな」(麻衣容疑者の自宅近所の主婦)
去る4月5日早朝、元交際相手で風俗店運転手・清水大士さん(38)を殺害した容疑で逮捕されたのは、アルバイト・西川麻衣容疑者(25)=京都府京田辺市=だった。
事件が発覚したのは2カ月ほど遡った今年2月14日のバレンタインデー。京都市南区のマンション自室内で清水さんが刺殺されているのが発見された。
京都府警は70人態勢で捜査を広げ容疑者をしぼり込み、麻衣容疑者を京都の自宅で、そして、ほぼ同じ時刻に夫で自称・研究所研究員の西川克己容疑者(55)を東京豊島区の自宅で逮捕している。捜査関係者が言う。
「清水さんは、自室で遺体で発見された時、上下のスーツにコートを羽織ったままの姿でした。マンション前には自分が運転する軽自動車のハザードランプを点灯させていたままだったことからも帰宅直後の犯行だったようです。清水さんはリビングのソファの上で胸を数カ所刺されており、失血が原因で亡くなっている。解剖の結果、深さ20センチに及ぶ傷口もあり、強い殺意の跡がうかがえます」
現場付近の防犯カメラには、麻衣、克己両容疑者の姿が映っており、殺害現場からは克己容疑者のDNAが付着した遺留物が発見されている。また、これまでに容疑者2人が事件翌日に入籍をしていることも明らかになっている。
いったい、なぜ新婚の2人がバレンタインデー前日に凶行に及んだのか。
事件を取材した地元記者は言う。
「麻衣容疑者は京都市内から電車で30分ほどのベッドタウンである京田辺市の府営住宅で両親と一緒に暮らしており、事件当時は近所の居酒屋でアルバイトをしていました。不思議なのは結婚したあとも、麻衣容疑者は、夫である克己容疑者の住む東京へは嫁がず親元に同居したまま、週末だけ東京へ行く“週末婚”をしていたことです」
麻衣容疑者の地元を訪ねると、近所の住民が驚きを隠せない様子で語る。
「実は以前、麻衣ちゃんが清水さんとつきあっている時に別れ話で相当ゴタゴタしたんです。それで麻衣ちゃんも地元の警察に届け出したんでしょうね。それでも、男が団地まで押しかけてきて『娘を出せ!』と、どなり散らして警察が出動する大騒ぎになったことがありました」
「元カレ」の蛮行に手を焼いた麻衣容疑者は昨年2月9日、「清水さんから脅迫や暴行めいたことをされている」として地元署に相談を持ちかけている。
この件に関し、京都府警では「その後、10月末には事態は沈静化している」と言うのだが、一度もつれた男女関係はそう簡単には収束しなかったようだ。
「清水さんは身長が180センチもあり、以前は風俗店を経営していた。無店舗形式、いわゆるデリバリーヘルスのような店でした。麻衣容疑者は、その店で勤務している時分に交際していたといいます」(前出・記者)
清水さんが経営していたと言われる風俗店に勤める20代のホステスを直撃すると、こう話す。
「ウチの店はみんな京都の娘ばかりやけど、中には親バレが怖くて大阪から通って来る娘もいてるよ。往復2時間もかけて通勤するのも大変やなぁって思うけど。お店の人とホステスが恋愛するのは“原則”禁止になってる。ということは裏を返せば結構あるんよ。せっかく出勤しても、お客がつかへんかったり、ついても嫌なお客さんだったりした時は、つい相談したくなるもんやしな。それで、相談を聞いているうちにエエ仲になってしまうこともあるんちゃうやろか」
しかし、事実は小説より奇なり。摩訶不思議なことに、この店で麻衣容疑者は結婚相手の克己容疑者とも出会っているのだ。